どの子も自分の考えを持つことができる発問の工夫
藤 井 隆 一
◇めざす授業 子どもが与えられた問題に対し、自分の考えや思いを表現し、それらを子ども達が聞き合う過程や結果において、子ども達が本時(単元)のねらいに迫る授業をめざしている。 ◇発問の工夫の必要性 そのための第一条件として、どの子も自分の考えや思いを持たないといけない。 ◇得たヒント 昨年の夏。ある研究集会で、静岡市立安東小学校に約20年前に勤務されていたK先生のお話を聞く機会に恵まれた。当時、どの子にも考えを簡単に持たせるための工夫として、YESかNOという問いを意識して発問したとのことであった。 ◇実践 1 単元のねらいの1つ 主題「生き物を粗末に扱う人類への警告」を理解する。(「注文の多い料理店」宮沢賢治) 2 第三次の各時の発問と児童の主な反応 第1時(30分) 発問 2人の紳士は変わったか? 【変わった(YES)】(児童の反応は、略) 【変わっていない(NO)】 (児童の反応は、略) 第2時(30分) 発問 4の場面(結末)の2人の紳士の性格は、1の場面(設定)に比べて変わったか? 【変わった(YES)】 8文「『ぼくは、二千八百円の損害だ』ともう一人がくやしそう」とくやしがりなのに、127文で、「ぶるぶるふるえ」とあるのでこわがりになった。 【変わらなかった(NO)】 12文「山鳥も十円も買って帰ればいい」とあり、2〜4の場面でいろな出来事があったのに144文「十円だけ山鳥を買って東京に帰りました」とあるので、1の場面も4の場面も生き物を大切に思っていないから。 第3時(45分) 発問 宮沢賢治が読者にうったえたかったことは何か? (児童の反応は、略) 3 実践を終えて 第3時に向かうために第1時、第2時を仕組んだ。第1・2時ではどの子も自分の考えを持ち授業に臨むことができた。また、第3時では、全員発表をし、板書のどこかに自分の考えが書かれ、それをもとに、どの考えがいいかの検討を行い、ねらいに迫らせた。 (栗東市立治田小)
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