初めを丁寧に読む「いろはにほへと」
吉 永 幸 司

1.初めを丁寧に読む
 全体を音読した後、最初の文を丁寧に読む指導を試みた。そのきかっけは、国語の授業は、いつも教師が導かないと成り立たないという意識を子どもが持っているからである。「この文がおもしろい」「詳しく読み返したい」という気持ちがあるはずである。しかし、実際はそうなっていない。だから、最初は、教師の導きによって丁寧に読んでも、次第に自立する読みにしたいという気持ちから始めた。前提として文章をすらすら読めるが行き着く先であるが。

2.文から考えるということ
 教材「いろはにほへと」(今江祥智作 光村3年)は次の文から始まる。
少しむかし、まださむらいがたくさんいたころの話です。
 その日、かっちやんは、はじめて文字を習いました。
  いろはにほへと
の七つです。読むこともできます。書くこともできます。かっちやんは、うれしくて、うれしくて、いろはにほへとーをくりかえしながら道を歩いていました。わすれないように、いろはにほへと、いろはにほへととー
ここで次のことを話題にした。
@いつのお話か。
 ・少しむかし。(お話にでは、むかしむかしという書き出しもある)
A出てくる人(登場人物)は誰か。
 ・かっちゃん (初めて文字を覚えた)
Bかっちゃんのしたこと。
 ・読むこともできる。
 ・書くこともできる。
 ・うれしくて、うれしくて、くりかえし言った。

 ここまで事柄を確かめたあと、
「いろはにほへと」をかっちゃんは何回言ったのかを尋ねた。
4回という子と5回という子がが出てきた。音読で回数を確かめると4回は確認できた。  そこで「4回です。でも、本当はもっとたくさんです。どうしてそう思えるのか考えながら読みましょう」と音読をさせた。
 8回とか9回、もっと多いという答えがでできた。
 「いろはにほへとーをくりかえしながら」というのは、何回も言っていることだからということに話し合いが落ち着いた。

3.学習力を育てる
 授業をしていると子どもの読む力と話す力の脆さを感じる。
 指示されたことはできる。しかし、その力を次に広げていくことをしない。それは、文章の読み方がすくないのが原因である。丁寧な指導を繰り返すことが壁を乗り超える力になる。
(京都女子大学)