授業私案「ちいちゃんのかげおくり」
吉 永 幸 司

1.「自ら学ぶ」を意識する
 国語科授業改善は「自ら学ぶ」を意識することから始まると考えるようになった。それは、「学習の手引き」が充実したからである。充実した学習の手引きは、「ちいちゃんのかげおくり」(光村3下)の場合、次のように構成をしている。
(1) 単元名は「物語の感想をまとめよう」というように学習活動名になっている。
(2) 「学習の手引き」は、「場面のうつりかわりをとらえ、物語の感想をまとめよう」という指示になり、単元名に呼応している。
(3) 学習活動の指示として次の方法を提示している。
 oていねいに読んでいきましょう。(第1場面と第4場面の同じところと違うところを比べる)
 oノートの例を示し違い比べる。
 o第5場面の有無を考えさせる。
 o友達と考えを比べる。
(4) 感想を文章にまとめる。
 o書き出しの例、結びの例を示して感想文が書けるように導いている。(始め・なか・終わりの構成を示している) (5) 着目する言葉の例と本の紹介

2.「手引き」活用の指導計画
 自ら学ぶを意識し、「手引き」を活用した学習計画を次のように考えた。  先ず、「ちいちゃんのかげおくり」の全文を丁寧に読ませる。そして、文章の全体を理解した段階で、「手引き」を読ませるという段取りである。つまり、内容の大体が理解できた子どもたちに「物語をまとめる」という学習の方法を学ばせるのである。
 従来、教師から、小刻みに出されていた学習課題を、子どもの前に示すのである。具体的には次のような指導計画になる。
(1) 「ちいちゃんのかげおくり」の全文を繰り返し読む。
(2) 全文を読み、理解をした力で学習の手引きを読み、「感想をまとめる」ことを目標に本文を読み返したりノートを作ったりする。
(3) 感想文を書く。

  3.指導計画の意図と育てたい力
 指導計画では「(1)全文を繰り返し読む」がポイントになる。本文の読みどころや大事なところを一緒に読むことである。学習を終えた時、内容の大体を理解し、すらすら読めることを大事にする。(また、学習の早い段階から、戦争について書かれた本を選ばせる)
 次に「(2)感想をまとめる」ことを目標に、自分の力で「手引き」を読む。そして、学習をすすめ、友達と確かめ合う。
最後に「感想を書く」「本を紹介する」という学習活動でまとめる。
(京都女子大学)