夏の思い出スピーチ
谷 口 映 介

 長い夏休みが終わり、多くの思い出と共に学校へ登校する子ども達。最初の授業では、「夏の思い出スピーチ」をさせることにしている。今までは、ひとり一人前へ出てスピーチをし、他の子がそれを聞いて質問をするという形式をとってきたのだが、今年は例年と違った方法を試みた。以下で紹介したい。

クモの巣思い出メモを作る
 まずは、話す材料を作るのだが、ここでは、WEB法を用いたクモの巣状のワークシートに夏の思い出を書かせた。中心には「○○の夏の思い出」というテーマを書かせ、そこから放射状に、@思い出、Aさらに詳しい状況、B思ったこと・感じたこと等をいくつも書くというものである。メモなので、ひとつ一つは詳細に書く必要はない。子ども達は、文章でまとめるのとは異なるため、思い出しながら、楽しんで書くことができた。

少人数のスピーチ
 今回は、一対多でのスピーチではなく、一対三(生活班)での少人数スピーチとした。この方が苦手な子も安心して話すことができ、かつ、話す機会も確保できると考えたからである。実際のスピーチでは、班の一人がメモを基に一分間夏の思い出を話す。それを班全員が言うまで続ける。その後、個々に対して班の全員が質問を次々にしていく。聞かれたものはその場で答えていくという形をとった。
 班の中での発表や質問が終わると、今度は、全員のメモを机に置かせ、自由に見て回れる時間を設定した。子ども達は、友達のメモを次々と見ながら、「ここに行ったんや」「面白いなあ」などと言いながら楽しそうに見ていた。最後は、見て回ったなかで、詳しく聞いてみたい友達と夏の思い出を交流させた。スピーチ自体はそれほど長くはないが、話す機会や回数を確保できたことは、利点であったと思う。

質問の形式を確認する
 班で話させる前には、質問の仕方を確認した。いわゆる「5W1H」である。このことによって、メモには書かれていない事柄をより多く聞き出せるのではないかと考えた。答える方は、「はい」「いいえ」で終わらせるのではなく、必ず一言から二言は付け加えて発言するように声をかけた。最初は考えながら質問していた子ども達も、何人か続けていくと、次第に慣れてきた様子が見受けられた。

 今回は、話す機会を確保することを主な目的に実践したが、最終的には日常に役立つ会話へとつなげていきたい。継続した実践を重ねたい。
(竜王町立竜王西小)