高学年に発表させる取り組み(3)
藤 井 隆 一

◇本学級の実態
 高学年は、低学年・中学年と違い発表の挙手が少なくなり、声も小さくなりやすいというのが一般的な傾向であろう。本学級もその例に漏れず、学級開き後の三日間、授業は一部の子どもの挙手・発言で進んでいった。(詳細は5月号に記載)

◇打った手だて3つ
 黄金の一週間ということばがある。これは、新学年・新学級開始一週間の学習のしつけは、一年間を決定づけると示唆している。筆者も、これを意識して、以下の手だてを打った。
(1) 恥ずかしいという気持ちは 良いことであると話す。(詳細は6月号に記載)

(2) 自分の考えを述べる時に「〜 です」と「〜だと思います」を 明確に使い分けさせる。
 発表・挙手しない理由に「発表した後、質問されたら答えられないので困る」というものが多かった。この思いを受けて以下、二つのルールを作った。
 @友だちが、「〜です」と発言しら、質問をしてもよい。
 A友だちが、「〜だと思います」と発言した時は、質問をしない。
 例えば、「先生が、100mを全力で走って、両手を大きく横に広げたら空を飛べると思う」は、先生が心の中で思っていることだから基本的に自由である。国語の学習は、まず、はっきりと話すことが第一である。たとえ、間違っていた発言でも、はっきりと話すことができたら、賞賛の意味を込めて拍手をしましょう。

(3) 子どもの考えを生かす
 発表した子どもが、結果的に発表して良かったと実感できる授業でなければ、子どもは発表しなくなる。第一単元「だいじょうぶ だいじょうぶ」(東書五年)で、最終場面でぼくがおじいちゃんに「だいじょうぶ だいじょうぶ」と言ったときの気持ちを想像させ、それを板書し、友だちの考えで気に入った気持ちを発表させた。

◇取り組みの結果(四月の参観日)
 前述の取り組みを続けて、八日後、五校時に学習参観があった。総合学習で、「お米」について調べたことを発表する授業である。保護者が見守る中、子どもたちは緊張の中、45分間とぎれることなく発言した。発言した子どもは、31人中約28人であった。
 学級開き後三日間、挙手・発表できない子どもたちの「発表したい」という気持ちを実現することのできた瞬間であった。
(栗東市立治田小)