新しい実践を目指して…、できなかった説明文の学習
蜂 屋 正 雄

 説明文「ヤドカリとイソギンチャク」(東書4年)の学習に取り組んだ。学習指導要領が変わり、子ども自身が主体的に学習にかかわること、また、計画を立てる手立てとして学習の手引きを利用すること、学習した内容を活用できる場を作ることなどを考えて指導を展開した。
 説明文で子どもたちに感じさせたいことは、文中で紹介される自然事象に対する「すごいな」「うまいことできているな」という科学的気づきと、「分かりやすいように工夫して書かれているな」という著者の書き手としてのすばらしさである。

 範読、音読で大まかに話を知ったところで、「はじめて知ったこと、ふしぎだなと思ったこと、びっくりしたり連想したりしたことを書いてください」と初発の感想を書かせた。「助け合いながら生きていることが分かった」と、著者が伝えたかったことに気づいている者も八名いたが、「ヤドカリは大丈夫なのかな?」などと読みが不十分な者もいた。子どもたちの現状を把握し、学習の展開を考えるのにのに役立ったつもりでいた。
 学習の計画を立てる段階では、学習の手引きをみんなで読み「どんな勉強ができそうですか」と問いかけたが、反応は鈍かった。

 さざなみの例会で実践を発表したところ、「何かをしようとしたことは分かるが、何も新しくなっていない」と指摘を受けた上で、いくつものアドバイスをいただいた。

○初発の感想について
 「自然のすばらしさ」と「著者の書き手としての上手さ」に気づかせたいと考えているのなら、それを聞くような発問をするべきである、と指摘を受けた。つまり、「なるほどうまいことできているなと思ったところはありますか?」「上手に書いてあるなと感じたところはどこですか?」と尋ね、そのことを書かせるのである。この発問だけで、子どもたちはその点を意識して学習を進めることができる。また今回のように、初発の感想の交流が、「何でもあり」にならず、深く読めていた子どもの考えを参考にして、自分の考えを深めることもできたのではないかと思った。

○教科書の手引きの活用の仕方
 手引きが読んでいきなり「どんな勉強ができそうですか」と問うのではなく、まずは、手引きの分かったところと分からないことを聞くなど、「手引きの読み」から始めると良いのではないかというアドバイスを受けた。手探りで、子どもの主体的な学習などと考えていた実践であったが、もっと足元を見て学習展開を考えなければいけないと思った。
(草津市立笠縫東小)