授業にストーリーを 「いろ、いろいろ」(1年)
吉 永 幸 司

1.授業に起承転結を
 1年生の授業においては、同じ活動を長い時間続けることは難しい。特に、語彙を広げる活動は授業に工夫が必要である。
 導入・展開という形の授業から、起承転結という視点で捉え直す授業を試みた。授業の話題を提供する(起)、語彙を広げる(承)、話題を盛り上げる(転)、まとめる(結)である。

2.「いろ、いろいろ」の授業
(1) 題材 「いろ、いろいろ」
(2) 目標
 @色の言葉をふやす。
 A色から連想する言葉を見つけ、ふやす。
(3) 授業の展開
 @色の言葉をみつける。
 o色鉛筆が連れてきた友達の「あてっこ」をする。
  「かえる・かさ・ながぐつ」など梅雨を連想する言葉を見つけさせる。絵を見せ、クイズ形式で語彙を広げる。
 A梅雨に関係する絵のまとまりであることを理解させる。
 o「かさ・あじさい」など梅雨に関係する絵から「六月・雨・梅雨」などの季節を思い浮かべる言葉を見つける。授業では「初夏」という言葉も飛び出した。
 B色鉛筆の仲間を紹介し、色を表す言葉を増やす。
 赤・橙・黄・緑など色鉛筆で7色を示し、虹を連想させる時に、橙や藍色を考える力を育てる上で教材となる。うすい橙、青より濃い藍色など表現も広がっていく。
 C虹をテーマにした絵本の読み聞かせをする。
 語句を広げる、連想する、隠れた部分を予想するなど、言語活動が多い授業である。授業のまとめを読みかせで総合化する。

3.授業の実際と成果
 1年生の実態では、起承転結の節を作るのは効果があった。絵の当てっこをする。絵を言葉に置きかえる、言葉から連想を広げる、読み聞かせをするというように展開した。学習活動の目的がはっきりしたのである。
 T これは何ですか。
 C 長靴です。
 C 靴下です。
 絵の一部分ではどちらも正解であるように見える。しかし、
 C 絵の下にゴムが見えるから靴下です。
のように、理由をつけて話ができるようになる。単なる当てっこではないことを子どもなりに理解をするようになる。
 学習成果は、色の語彙を増やすという目的を達成するために、絵本の読み聞かせに高める授業の組み立てである。
(京都女子大学)