マンガで読む徒然草〜古典にふれてみよう(5年)
川 那 部 隆 徳

 本学習は、古典文学への入門として位置づけており、徒然草の原文を音読したり、マンガ版を読んだりすることを通して、古典のおもしろさを感得させたいと考えた。
 徒然草の内容は、自然のこと、人の生き方を中心として、趣味、芸術、学問、政治、宗教など、多岐にわたる。それらの中から今回は、序段を含め、比較的児童にとって理解しやすい四五段(堀池の僧正)、百九段(木登りの名人)、百八四段(北条時頼の母)、五五段(家のつくりやう)をこの順に取りあげた。
 指導にあたっては、古文を口語訳することを主とするのではなく、マンガをもとに文章の内容理解をはかり、自分自身の生活経験や考え方と照らし合わせながら、兼好のものの見方考え方にふれ、各自の徒然草に対する感想や印象を交流する場を大切にした。

【学習計画】(全7時間)
第一次 古典文学との出会い(1時間)
 o序段を音読し、言葉のリズムを感じる。
 o徒然草が書かれた時代や作者について知る。
第二次 マンガで読む徒然草(4時間)
 o各々の段を読んで、兼好の見方考え方にふれる。
第三次 徒然草の感想(2時間)
 o学習を振り返り、兼好が伝えたかったことを考えたり、感想をまとめ交流したりする。

【第5時 五五段】
 自分が家を造る際、夏のことを主にするか、冬のことを主にするかについての考えを出した後、マンガ(絵の部分のみ)を見て兼好の考えを予想した。ついで原文を数回音読し、分かったことと分からないことを整理した。
C 「わろき」って何?
C 「わろき住まい」だから、「悪い住まい」だと思う。
C 「たへがたき」ってどういうこと?
C たえられない?
C そうすると、「悪い家だったら、暑いころ、絶えられない」
C それだったら、「夏をむねとすべし」は、夏を考えるということだと思う。
 (中略)
T (文章入りのマンガを示した後)「夏をむねとすべし」とする兼好の考えについてどう思いますか。
C (賛成派、反対派の意見が続く)

 終末の感想には、「兼好法師は、日記のつもりで書いたのに、いい人になるための秘けつがたくさんかくされていた。方丈記や枕草子も読みたい」などと綴られていた。
(滋賀大学教育学部附属小)