巻頭言
見られています。あなたの行動を、そして行動に込められた気持ちを。
林  良 彦

 教頭から本校の教職員に対して『教頭便り』を出しています。ある日の便りです。

 授業参観の際の保護者からの声です。保護者@「目が悪い子に青いチョークは見えにくそうな感じがしました。」
 チョークの色ってどんなふうに使っていますか。その時その時ですか。わたしは、白は叙述、黄色は解釈等、赤は重要でした。青は見にくいので基本的に使いません。

 保護者A「自分の意見を持っているのに、手を挙げることがなかなかできずにいる子どももいると思います。手を挙げられるような工夫がもっとあればとよいと感じました。」
 全員参加の授業ってどんな授業なのでしょう。全員が発表すれば全員参加の授業なのでしょうか。全員に発表してほしいと「量」を求めているだけでは「質」として高まる授業にはなりません。
 学習課題を全員で考える、思考が、教師の適切な支援によって、さらに高まっていく。意見を言うのも大切ですが、全身で聞くことも大切です。今の自分の立場(ぼくはAの考えに賛成だ・今はよくわからない・もっと教科書を読んで考えたい・ノートに書いてみたい)をはっきりさせることも大切です。今日の学習ではっきりしたこと・はっきりしなかったことを、そして、次の学習課題を明確にすることも。このように、学習課題追究に関わる学習活動に様々な形で参加することが全員参加の授業と考えます。

 保護者B「先生の声が小さくて聞き取りにくい。何を言っているか分からないときがありました。」
 子どもを取り巻く言語環境の大きなウエートを占めるのは、教師の話す声・教師の書く板書です。自分の話す声を自分で聞いたことがありますか。かつては国語の授業をテープ等に録音して、行き帰りの車で聞いていました。「この言い方では子どもにわからないな」「子どもの言いたいことを受け止めていないな」「教師ばかりしゃべっているな」等。客観的に自分の話し方・声量・子どもの意見への対応・深めるための発問等を授業者としてふりかえっていますか。

 保護者が見ているのは、子どもたちの姿とともに、わたしたち教師の行動です。その行動が、子どもたちにどのように受け止められているか。
 教師の授業における行動の是非は、子どもたちの受け止め方によって決まります。すぐれた授業実践を生み出すためのすぐれた教師の行動特性があります。
(金沢市立鞍月小学校教頭)