問いを育てる(3年)
吉 永 幸 司

1.問いを育てる
 「分かりましたか・できましたか・考えましょう」ということを国語授業でどれほど言ってきたであろう。その繰り返しの結果が指示待ちの子を育てている面もある。
 「どうしたらいいのだろ・わからない」という気持ちが「考える」につながる。そのためには、「問いを持たせる」ことが大事であると考えた。

2.物語と説明文を比べる
 「きつつきの商売」「ありの行列」(3年)を学習した後、2つの教材を比べるさせた。
 2人のペアで、最初を比べる、終わりを比べるというように2人が相談できる場を設けたのである。すでに学習を終えている。物語と説明文という言い方も学んでいるという実態を生かし、次のように授業を展開した。
@「きつつきの商売」「ありの行列」の最初の2ページを読み比べる。
 2人で比べるために、違うところを探させた。
A2つの文章を比べて読み、見つけたことを発表する。
子どもたちが「気がついたこと」として挙げたものの多くは形式や表現である。
 o林原玉枝作と大滝哲也文。作と文が違う。
 oきつつきの絵は絵本の挿絵みたいである。ありは本当のありのように書いている。
 oきつつきがしたことを人間がしたように書いている。ありの行列を観察したウイルソンという学者のことを書いている。
 o話す言葉で書いている(会話文)
B終わりの文を比べる。
 お話が終わるとうことが2つの文章でよく分かる。しかし、きつつきのお話は続くように書いている。ありは行列ができた答えを書いている。物語の終わり方と説明文の終わり方が違うというように物語を説明文という言葉を使って説明をすることが違いを話す授業になっていった。
C物語と説明文を学習した後の違いを考える。
 難しい課題である。しかし、問いを持たせるには簡単に答えが出ない方がいいだろうと考え、物語と説明文の違いを比べ、発表させようとした。

 理解できないときに「分からないので教えて下さい」「どこを手がかりにして考えると分かるようになりますか」というように、問いを持つ言葉を指導した。次の指示を待つことよりも大事であると考えたからである。子どもの問いを受けて「学習の手びき」に使われている言葉(例えば場面や段落)をヒントにした。
(京都女子大学)