自分と向き合う
白 髭 英 之

 「文章と対話しながら読み、自分の考えをもとう」を目標に「生き物はつながりの中に」(光村6年)の学習に取り組んだ。
 本文の最後に「今、あなたが生き物として生きていることが、とてもすてきに思えてきませんか。そして、自分自身のことが、大切であるように、他も大切であるとという気持ちになりませんか」と、筆者の考えが述べられている。この筆者の考えに対して、自分の考えを書くことにした。

 新しい教科書となり、子どもたちが見通しをもって学習を進めることができるように、さらに工夫が重ねられている。例えば、教科書の下部には、子どもたちの思考を促すような吹き出しが載せられている。今回学習するにあたり、この吹き出しに書かれていることを機会あるごとに読み込んだ。
 加えて、本文の後には学習活動の流れが記されている。「筆者の考えに対して、あなた自身はどう考えるだろうか。」と投げかけ、「共感できる」「共感できない」などと、自分の立場を明らかにして書くことができるように選択肢を提示している。学習の最初に、子どもたちに学習活動の流れを、本文同様、ていねいに読んだ。

 この学習で自分の考えを書くのではあるが、筆者の考えである「生きていることがすてき」「他も大切」ということを考える時に、自分自身と向き合いさせたいという願いを持っていた。いつも自分自身をふり返り、自分の内なる心情を感じることは、人としての生き方を学ぶ6年生では大切にしたいからである。
 子どもたちの考えから。

●将来、子どもを生むかもしれない。私がいなければ、その後の命がなくなってしまうかもしれない。(つながりを自分に置き換えて考えている。)
●私は、家族としかつながっていないと思っていた。(筆者の考えに興味をもち、納得した理由。)
●「自分自身が大切である」の意味が、いまいちわかりません。でも、いつかわかると思うので、その日がくるのが楽しみです。(母親から言われた言葉を加えながら、素直な気持ちを綴っていた。)
●歴史の中で、今、生きていると思うとすごいことだと思います。(これからの自分自身の生き方に触れていた。)
●私は、そんなに自分自身を大切にしていませんでした。マイナスのことしか考えていなかったり…。(自分自身を大切にしたいという思いを強くした。)

 今回、筆者の考えに対して自分の立場を明らかにできたが、その理由が明確でないのが多くあった。
 「生き物としての自分を考えたことがなかった」ということを書いた子どもがいたが、まさにその通りで、理由が十分に書けないことの証だと思う。
 国語科でも、自分自身の内面と向き合うことを積み重ねていきたい。
(彦根市立城南小)