しっとりとした授業 〜3年生毛筆書写はじめ
中 嶋 芳 弘

 はじめて毛筆を手にする3年生。先週は、用具が届いていなかったので、準備の仕方について教科書を参考に考え合い、準備の仕方を確かめあった。
 そして、初めて書写用具を使う時間、子ども達はわくわく、そわそわしている。中には、バッグを開けてごそごそしている子もいる。教師の方は名前が書かれているかの確認から、用具の準備の仕方から扱い方、しまい方まで、文字を書くことの指導の前に、指導したいことが山積している。

 コの字型に並んだ子ども達の机の真ん中にに座って、「書写の良い姿勢をしましょう」と声をかける。これまでの学習を思い出してすぐに姿勢を整えられる子……。怪訝な顔をしている子……。
「どんな姿勢が良いのかな。」
 静かに小さな声で声をかける。すぐに口を開こうとしていた子が気がついて手を挙げる。背中とおなかに握り拳を当てて説明する。続けて発言しかけていた子が小さな声で「同じです」と続ける。

 こんな様子で始まった毛筆書写の初めての毛筆を使った学習。
「それでは、先週学習したことを思い出して準備をしましょう。声や音を出さないように静かにね。墨はまだ用意しなくていいです。」
 静かに声をかける。わくわく、そわそわしていた子ども達がちょつと落ち着いて準備に取りかかる。準備の様子を目で追う。下敷き、文鎮の位置、筆や墨入れの置き方……。新聞紙の用意のしかた。
「準備の仕方を忘れている人もいますね。そっと『教えて』と班の人に聞きましょう。優しく教えてあげましょう。助け合って静かに用意のできる班が学習の上手な班です。」

 用意を調えて、子ども達は、良い姿勢に戻って待っている。
「今日は、はじめてなので、墨ではなく、水を筆につけて書きます。それから、墨の付いた筆や墨入れの片づけ方の学習をします。片づけ方を知らないと、服や机や床を汚してしまいますからね。」
 班ごとに墨に見立てた水をくみに行く。
「筆に水(墨)を吸わせて見ましょう。」
「筆は、不思議です。少しだけ水(墨)を吸わせることもできます。たっぷりと吸わせて太い線を書くこともできます。」
「本当に不思議。」

 そんな水で書く学習の後、片づけ方の学習。
「手がぬれたり、服が濡れたりしたら、そこは墨が付いたのですね。大丈夫でしたか。今度は墨を使って『二』を書く学習をします。」
 しっとりした授業の後、失敗をしている子は少なかった。
(彦根市立旭森小)