おじぞうさまってなんだろう
蜂 屋 正 雄

 昔話のおもしろさとは何であろうか、それを味あわせるためには、「お約束」を共通理解する必要もあるだろう。今回は「おじぞうさま」にスポットを当てて、「かさこじぞう」(東京書籍2年)に出てくる「おじいさんにとってのおじぞうさま」について子どもたちに考えさせた。
 第一場面で「貧乏な様子を書いているところはどこだろう」ということで線を引かせた。
 第二場面ではおじいさんが行った町の様子を元に、大年の市やうす、きね、まつなど、お正月ならではの風習について触れた。

 第三場面は、おじいさんがおじぞうさまにかさをかぶせる場面である。
 はじめに「おじぞうさまが、おじいさんにとってどんなものかがわかるところに線を引こう」と指示したが、何を問われているかよくわからない様子であった。そこで「おじいさんって、どんな人だと思いましたか」と尋ねると、「優しい人」という共通の答え。では、優しさがわかるところはどこだろうと、線を引かせてみた。「気のどくにな」「おつむの雪をかきおとした」「かさこかぶってくだされ」「こらえてくだされ」と、線を引くうちに、おじいさんがおじぞうさまを大切に扱っていることに目が向いた。

 そこで、もう一度初めの発問に戻り、「おじぞうさまは、おじいさんにとってどんなものですか」ときいたところ、雪を落としたり、じぞうさまをなでているところから「大切なもの」「お気の毒」、かぶってくだされ、こらえてくだされという言葉から「自分より上のもの」、しっかりむすんであげたことや、なでているところ、やっと安心してと書かれていることから、「自分の子どものようなもの」という考えが次々と子どもたちの中からわきあがってきた。
 おじいさんにとってのおじぞうさまを見ていくことによって、今まで「石が動くなんてふしぎ」ととらえていた「おじぞうさま」とは、少し違う「おじぞうさま」が見えてきたのではないかと思う。

 かさこじぞうの学習に並行して、昔話の本を学級文庫に並べておいたが、この学習をしてから、ほかの昔話でも、挿絵や話の中にお地蔵さまが出てくることに気づき教えに来きてくれる子もいた。
 昔話にとっての「もち」や「正しさ」など、昔話の「お約束」の謎にふれながら、昔話ならではのおじいさんの優しさとそれが報われていく話のおもしろさに気づけるように授業を仕組んでいきたい。
(草津市立笠縫東小)