言葉について思う
白 髭 英 之

 先日、出勤すると、職員室の机上に「発達障害の子どもをつつむクラス作り」というプリントが置いてあった。特別支援教育推進に関わる研修会に参加された先生が配布してくださったようである。

 子どもたちと信頼関係を構築するためには、好意に満ちた語りかけ=子どもを信じる・言い分を聞く・責めないことが重要であると書かれていた。また、児童・生徒に付けたい力の一つとして、自己コントロール力をつけることを挙げられていた。私自身は、直接聞いていないので確かではないが、プリントに書かれていることからすると、自己コントロ−ルの内容の続きに言葉のコントロ−ルのことについて、話をされたようである。内容は「いがいが言葉(うるさい・だまれ)」と「ほんわか言葉(ありがとう・ごめんね)、「マイナス言葉(だるい・いや」と「プラス言葉(おもしろそう・やろう)」などなど……。

 今の子どもたちがよく使う言葉の象徴として挙げられるのが「うざい・きもい」である。自分の価値基準に合わないことはこの言葉で排除してしまう風潮がある。私のクラスも例外ではなく、この言葉を耳にする。「うざい・きもい」の言葉が原因でトラブルに発展し、何度か話し合いをもったことがある。この言葉を使うことに特に悪意はないのであるが、相手がどのような気持ちになるのか、全く考えていない。自分の感情や考えに応じた適切な表現ができないのであろう。

 いろんなことを考えながら……
表現の仕方を工夫して書こう『感動を言葉に』」(光村6年下)の学習に取り組んだ。詩を読み、ものの見方や表現方法を広げることをねらいとしている。教科書に掲載されている詩を鑑賞した後、詩の創作活動に入った。自分が感動したことや、身の回りにあるものを、いつもと違う視点で眺めて気付いたことなどを題材にした。しかし、なかなか進まなかった。そこで、
 ●言葉の連想ゲ−ムをする。
 ●いろんな詩を読む。
 ●詩の材料メモを使う。
など、言葉を生み出すことができようにと考えた。また、どうしても整った言葉を並べなくてはならないという意識が働くようで、自分のつぶやきを、ふと思いついたことを言葉にすればよいことを伝えた。ある子どもの詩。

    ランドセル
  窓から見えた1年生
  ピカピカ光ったランドセル
  みんな同じランドセル

  その後ろにいる6年生
  使いこんだランドセル
  みんなちがったランドセル
       (略)

 ランドセルには、だんだん思い出がつまっていくことを表現したようである。卒業が近づき、いろんな思いに浸っているのだろう。
 私自身、子どもたちの言葉の感性を磨いていきたいと思う。
(彦根市立城南小)