うんでくれてありがとう〜「感謝の手紙」から
高 野 靖 人

 初任者研修の拠点校指導員として、4名の初任者の学級を日替わりに訪れている。
 時折、私が授業をして初任者が参観する「示範授業」も行っている。ただ本年度は、初任者が、2年生2名、3年と4年が1名ずつと3つの学年にまたがっているので、当然学年に合わせた対応をしなければならない。

 今回の「示範授業」は、コンピュータ室で1人1台使えるパソコンを使った学習を計画した。子どもの要望もあり、学期に1回は、コンピュータ室での「示範授業」を行っている。2年生は「生活科」3・4年生は「総合的な学習の時間」で指導案(略案)を書いたのだが、内容はほぼ同じである。

 即ち、各パソコンに入っている児童用総合ソフトの「ありがとうカード」を使い、今、一番感謝している人へ、お礼のお手紙をパソコンと手書きで仕上げる学習である。基本的な手順は、
(1) 指導者が、基本的なソフトの使い方、作成の仕方(イラスト・写真の入れ方、文字の書き方等)を大型プロジェクターで示す。
(2) 相手を決める。
(3) 基本の便せんを選ぶ。
(4) 「〜より」に自分の名前を書く。
(5) 元のイラストを自分が気に入ったイラスト・写真と交換。
(6) 相手の名前や、一部「文」を打ち込む(後日、必ず手書きの文やイラストをかき加える)。
(7) 時間をみて、保存して終了。

 印刷は、私が全員分をまとめて行った。
 未完成の子や保存がうまくできなかった子には、昼休みに続きをする機会を与えた。また、父母、祖父母など相手がペアとなる便せんの場合は、2枚印刷して渡した。多かったのは、父母(単独では、やはり母)、兄、祖父母、友達。残念ながら、今年は担任に手紙を書いた子どもはいなかった。
 4年生は、さすがに文の量が多くなり、ローマ字入力で打てる子も多くなっている。

 同じ学校に2人初任者がいるのでこんなこともあった。金曜日に4年生に手紙の学習をしようとしたら、「先生、こんなの作るの?」と、1人の男児が、自分のファイルから大事そうに弟からもらった手紙を取り出した。水曜日に2年生の学級で弟が作成し、私が印刷した手紙だった。もちろん手書きの文が、書き添えられていた。パソコンと手書きをミックスするのは、デジタルとアナログそれぞれの利点を活用してほしいという願いがあるからだ。

 2年生の男児が、仮名を探して打った次の言葉が心に残った。
「おかあさん うんでくれてありがとう。」
(大津市立仰木の里東小)