▼そのドラマは少年野球の人間関係をテーマにしたもの。打てない守れないという少年に技術と喜びを教え、自信という宝物を手にしたという内容。ドラマの展開も面白かったが「夢はみるものでなくつかむもの」「過去と他人は変えられない。自分と未来は変えることができる」とういう言葉も印象に残った。

▼少年野球の舞台を国語教室に置き換えて考えてみた。打てない守れないという少年のような子もいる。天才のように上手な子もいる。教え上手な子もいる。1年という時間の中で互いの良さを生かし、豊かな人間関係を育てるのが大事であろう。

▼ドラマでは、ボールを追う目の動きを鍛えたり腕の振り方などを繰り返し教える場面があった。悲鳴を上げる少年が「できた」と喜び「もっとやろう」という場面では熱いものがこみ上げてきた。授業ではこのような熱いものがこみ上げるという機会が少ないのは、それまでの過程が淡泊なのであろう。

▼一人学習の時間。勉強を仕方が分からないという子の隣でノートを見せたり、書き方、言葉の見つけ方を細かに教えている子がいた。美しいノートになった時、二人は満足そうにノートを見ていた。ドラマの場面のように思えた。少し目を、できないという子に温かく注げば、演出なのか発見なのかわからないが、教室にもドラマの原型はある。(吉永幸司)