1年生に「読み語り」
岡 嶋 大 輔

 学校に慣れることに一生懸命だった昨年とは違い、1つ下の学年に1年生がいるので「お兄さん」「お姉さん」としての意識を持ち始める2年生。春から、1・2年生で「ペア学級」「ペアの友達」を決め、ことあるごとに一緒に活動してきた。

 今回は、自分たち2年生が「ペアの1年生」に1対1で「その1年生に聞いて欲しい」昔話を読み語るという取り組みをした。
 読み語る際に大切にしたのは、
 o読み語る昔話の「おもしろポイント」を1年生に話せるようにする。
 o会話文は、その登場人物の気持ちを考えて、それが伝わるように工夫して読み語る。
という2点である。
 昔話に限ったことではないのかもしれないが、会話文に着目してそれを感情豊かになるよう工夫して読むのは、工夫する方も、聞いている方も、非常に楽しかった。

 まずは、学級全員で「金太郎」のクライマックス場面の会話文
「あいあい、ここは おらたちの やまだや。おいらと すもうを とれ。すもうで かったら と おしてやるわい。」
「な、な、なにを こしゃくな。」
について、それぞれどのような気持ちで言ったものなのかを、これまでの金太郎の行動や話の展開を踏まえて考えるようにした。
 例えば金太郎の会話文について、次のような考えが出た。
 o山の動物たちを守るために戦おうという気持ち。
 o山で狩りをする侍たちに怒っている気持ち。
 o相撲で勝つ自信がある、相手をなめた気持ち、等々。
 そして、それぞれの考えについて、「ではどう読めばいいのか」ということで実際に声に出して発表していった。
 そのあたりは調子のいい2年生。舞台役者顔負けの読み方をする子もたくさん現れ、楽しく、しかし、しっかりと気持ちの表れた発表をすることができた。

 以上のように1つの会話文について一斉で考えを出し合った後、自分が選んだ昔話のページをめくって、同じように工夫できそうな部分を探し、付箋にどう読むかをメモして貼っていくようにした。
 読み語りの練習を重ね、メモがなくても工夫して読めるようになれば、付箋を外していった。
 学級のみんなの付箋が外れた頃、1年生を招待して「昔話の読み語り会」を催した。
 ひとつの本を前に、肩を寄せ合い、一生懸命に読み語る2年生と、それを楽しそうに聞く1年生の姿がとてもほほえましく感じられた。
(滋賀大学教育学部附属小)