子どもの言葉を考える学校に
森  邦 博

 本誌314号319号で私は、本校の子どもの言葉を学校ぐるみで指導しようとしている取り組みについて紹介した。本号は「その3」。

 今年度になって、職員室の出入りのときの話し言葉がずいぶん定着してきたことを感じている。よどみなく、当たり前のように「失礼します。○年○組の○○です、〜できました。入ってよろしいか」とたずねられるようになってきたことはうれしく思っている。

   学習中の言葉は、学校の授業の中でこそ教えられる(教えるべき)話し言葉である。だからこそ、授業中と休み時間中との言葉の切り替え、時と場を考えた言葉の生活にまで育ってほしいものである。
 まだまだ言葉の生活の耕しは不十分であるが、やがて子どもたちが社会に出たときに生きるだろうとも思って続けているのである。

 さて、5月からは、児童放送委員会のお昼の放送が変わってきた。これまでの「給食の献立」「本をテレビに映しての読み聞かせ」「歯磨きの放送」に、次の2つが加わった。
 (1) 「今日のニュース」(今日学校でどんな出来事があったのか、インタビューして伝える)
 (2) 「今日の作文コーナー」(毎日1〜3人ぐらいが人書いた作文を音読して発表する)
 事前に放送シナリオを担当の先生にチェックしてもらって放送することとなった。ニュースがうまく取材できなった日は「なぞなぞや、謎かけ」などになる日もあるが。

 放送時間になると、いそいそと作文帳を手にして学級の代表が放送室へやってくる。みんなに聞いてもらうというので、少し緊張ぎみである。作文にも何箇所か自分や先生の手で推敲した後も見える。
 教室での話し言葉の指導と同様に、パブリックな場でしっかりとした声で、はずかしくない内容・言葉遣いで発言する体験の場ととらえると、このお昼の放送時間はよい指導の機会にすることができる。

 無事作文を読み終えると、どの子もほっとした、満足感の感じられる表情になるのが見ていて微笑ましい。
 私は、その作文をいただいて、もう一度読ませてもらう。そして、朱書きで、良かったところを、できているところ見つけ褒め言葉、励ましの言葉を書き、「がんばりカード」(本校のキャラクターが印刷してある名刺大のカード)を添えて返す。また、子どもたちが毎日通る昇降口の掲示板に張り出す役を買って出ている。
(大津市立田上小)