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教育幻想 クールティーチャ―宣言 著者は社会学の視点から教育問題を論じ、「間をいく教育論」を展開する。二者択一ではなく中庸を勧めることに斬新さはないが、そこに至る分析や論の展開にはうなずくことが多い。 人間関係について「事柄志向」「人柄志向」という2つのキーワードから考える。事実を見るか、人となりを見るかの違いである。小学校の教員は「人柄志向」が強いのではないか。問題が起こったとき、その事実より関わっている子どもを中心に見る。「人柄志向」に傾いた判断になりがちである。「事柄志向」的な見方をすることで、客観的な判断や公平な指導ができる場合がある。 「心の教育」に対して「行いの教育」をおいてみる。どういう時にどうふるまえばいいかという行動・行為を教えるのであるから、基準も明確にできるし成果もわかりやすい。学校生活の中で「やさしさ」や「思いやり」を求めるより、「ルール感覚」を学び取らせる。ルールを守ることが道徳的に価値のあることというだけでなく、自分自身の自由を保障するために重要なことだと納得させる。行動が変われば、心も変わる。 ヤングアダルト向けのシリーズだが、学級経営や学校教育に悩みや疑問を感じている教員には教育方法論として勧めたい。(常諾真教) |