▼「白いぼうし」(あまんきみこ)の作品を読み、表現の仕方を大事にした授業を参観した。いきなり「シャボン玉のはじけるような、小さな小さな声でした」の「小さな小さな」と「小さな」の違いをを比べることや表現の仕方を見つける方向へ授業は進んだ。

▼「夏みかんが何回も出てきます。大事な言葉だからです」「小さな団地の前の小さな野原でしたがとても様子がよく分かります」「よかった。よかったのところが不思議です」等、不思議、似合っている、想像できる等の言葉を文末に据えて話し合いを深めていった。表現の仕方が話題になった。そのことが主体的に文章に関わろうという話し合いになった。

▼この授業の感動を知人に話したところ、「ぼうしのうらに、赤いししゅう糸で小さくぬい取りがしてあります」でおもしろい発言があったことを聞かせてくれた。「帽子の裏に刺繍糸で縫い取りをするお母さんというのはどのようなお母さんでしょう」と尋ねたところ、優しいとか温かいとか様々に発言が生まれたという。赤い糸がいいとか、小さく縫い取られているのがいいという意見も出たという。「このお話を書いた人は、きっと優しい人だろう」という発言も生まれた。登場人物の気持ちを考える授業も楽しい。が、表現を考えることも楽しいと思ってほしい。(吉永幸司)