「討論会」を楽しむ 〜聞くって楽しい!〜
西 村 嘉 人

「今日のチームは、どちらも前の方を向いて話をしていたので、聞いていて考えていることがよく伝わってきました。」
「昨日の自分の話し方と比べると、言いたいことを強く言えてたように思いました。」
「否定側のチームの方が、相手の話をよく聞いて、反論したり相手の反論に答えていたように思います。」
 「学級討論会をしよう」(光村6上)の学習でのこと。討論の後の勝敗判定までに、数人の子どもに討論を聞いた感想を突然指名して話させた。上はそのときの簡単なメモ記録である。

 ディベート型の討論会を仕組もうと討論のテーマは、
(1) 小学校も昼食は弁当にするのがよい。
(2) 学校への登校は集団登校がよい。
(3) 家の勉強は子どもに任せて、宿題は出さない方がよい。
の3つを用意した。調べる時間を多くとらなくても、子どもの日常の感覚で、様々な角度から意見を出せそうなものを考えた。6チームの担当を決定した。

 ディベート型と言いながらも、あまり厳密に型を追うことなく緩やかに子どもたちが楽しませたい。そんな願いから、次のような指示をしながら討論会を準備を進めた。
○討論会への出場者は、立論ー反論ー結論だけでなく、反論後に相手の意見に答える人を置いてもよい。
○作戦を立てる人が、直接話をしてもよい。
○チームの全員が出場しなくてもよい。(学級事情による)

 さて、討論会の準備である。討論会に興味を持った子どもたちだが、準備はと言うと肯定側なら肯定側の意見を集めるばかりで話し合いが進展しない。そこで、チームの中に反対の立場になって考える役割を作るように指示した。ようやく、グループ内の話し合いが動き出した。
「相手はきっと弁当は好きなものばかり入れてもらえるから、給食のように栄養のバランスがよくないって言うと思うで。」
「そしたら、給食だってきらいなものを残す人がいるんだから、弁当が悪いわけでない、って言い返したらどう?」
「あっ、そうか。弁当は好きなものと思うからだめなんや。」
 グループ内の話し合いでも、立場を変えて話し合うと、友だちの話を聞くのがおもしろい。

 討論会が進んでも、自分の予想と比べて話を聞くからおもしろい。「聞くこと」が楽しくなって、討論会が勢いづいた。
(彦根市立旭森小)