聴き合う 学び合う 授業作りを目指して
中 嶋 芳 弘

 春休みの間に、大型のディスプレーが教室に入り、そのディスプレーにはWEBにつながったパソコンがセットされた。ばかでかいそれは、黒板の前に置かれ、子ども達の机は、そのディスプレーを中心にコの字にでも置くしかない。チョークの粉の舞う黒板の前に立って進める授業はもう過去のもの。パソコンを操作しながら、子ども達とともに画面を見つめ、子ども達と語り合いながら授業を進める場面を想像した4月。

 そんな本校では、今年度から東京大学大学院の佐藤学教授を中心に進められている「学びの共同体」の理念に従って校内研究、つまり授業作り、さらには学校作りを進めていくことになった。(「学びの共同体」については、ネットで検索すれば、その理念や実践にたくさん出会うことができるし、多くの啓発書や実践書が出ている)

 進み始めて実感していることがいくつかある。それは、いつの間にか思考や実践が硬直化していた自分への気づきでもあり、教育の当たり前の確認であった。

○特定のイデオロギーやマニュアルに結びついたものではないので、自分が積み上げてきた授業実践を見つめ直すことで挑戦できる。特定の授業の進め方があるわけではないと言うこと。

○子どもの学びを保障する。すべての子どもが授業に参加することを考える。すべての子どもが、そして、教師が聴き合う教室、つまり学び合う教室でなければならないということ。

○どの教室も同僚や保護者、地域に開かれている。教師全員が同僚に授業を公開し、授業での事実をもとに研究会をする。教室の事実にもとづいて、どこで子どもが学び、どこで学びが閉ざされたのかを中心に議論する。教師全員の授業公開は、すばらしい当たり前である。

○保護者や地域住民が授業にどんどん参加する授業にする。参観日に子ども達の様子を見てもらうことは大切。さらに授業に参加してもらえば、もっと子どものことを分かってもらえる。

○「コの字型」の机配置と男女 混合の「4人グループ」による協同学習を採り入れた授業形態を推奨する。「コの字型」は子どもと子ども、子どもと教師の距離を短くし、子どものアウトプットが多い授業に向かう。「4人グループ」は精神的な安定感を生み、子どもの教え合いが起こりやすい。

 しっかりと教材研究をし、大型のディスプレーを横に、子どもと子どもを結んで授業を進めていきたい。子ども達の学びのジャンプに取り残されないように。
(彦根市立河瀬小)