▼学校の一日は、朝の挨拶から始まる。「国語力は人間力」を合言葉にしてから、校門前の挨拶を指導の場に位置づけている。学習への心を整えるのは勿論、声がしっかりと出せる、目を見て挨拶ができる、深いと浅いを考えてお礼ができるようにするのが指導の内容。

▼子どもにすれば、わずか数秒の時間。しかし、指導の場なので、いろいろな仕掛けをする。お礼の仕方、声の出し方など、細かに見えるところで指示が聞けているかどうか等。指示を受けた子は、その場で挨拶を整える。これは当然である。気にしているのはその周りの子である。

▼指導を受けている子の様子を見ている子の中で二つの傾向がある。一つは指導を受けている子の様子を見て、自分の中に取り込み、声や礼の仕方を整え正す子。もう一つは、指導を受けている子に関心がない子。前者の子は「気づく」力がある。この子達は自分の行動を正し、伸びようとする気持ちが伝わってくる。思わず、「丁寧な挨拶ができますね」と声をかけるほど。「気づく力」がある子と捉えている。

▼授業では、この「気づく」力の有無が学力の育成と深く関わってくる。話し合いなどでは、周りの様子を見ながら、自ら姿勢を正して、積極的に学習に参加することが求められるからである。たかが、朝のひとときのドラマだが。(吉永幸司)