[特別寄稿]
低学年の要約文づくり
新 家 三 喜 子

 光村図書2年(上)には、説明的文章の教材として、「たんぽぽのちえ」が登場する。本教材では、挿し絵と本文を結びつけて、記述を読み取ることや、順序を表す言葉に注目して、事象を読み取ることが求められる。
 ここでは、こういった読解の学習を発展させ、2年生でできる要約文づくりの取り組みを紹介したい。

 第1時 花びら学習を行い、題名に対するイメージをふくらませる。
 第2・3時 時や順序を表す言葉、難語句の理解。音読に生かす。
 第4〜7時 時系列でたんぽぽの「ちえ」を見つける。
 第8時 まとめの感想を書く。
 この学習計画にある「ちえ」の読み取り活動の中で要約文を学習することとした。

 まず、学習ノートを三段に分け(とき)(ようす)(わけ)の項目を設けた表を作り、本文に即して読み取った内容を記入していくことを児童に伝えた。「ちえ」を4つにしぼり、そのときのたんぽぽの(ようす)をノートに記入する際、『説明を短い1文でまとめる』ことを学習課題として進めた。

@のちえ…「花はしぽんでくろっぽい色にかわり、花のじくはじめんにたおれる。」
 「その」や「だんだん」、「いきます」などはキーワードからはずして文を整理することを知らせた。「ぐったり」をキーワードに入れるか入れないかで話し合いの場面が設定できた。

Aのちえ…「花はかれて、白いわた毛ができて<る。」
 「らっかさん」や「ふわふわ」とばす様子は、絵に表したり実際に落下傘を作って感得させた。

Bのちえ…「じくがおきてのびる。」
 キーワードとして「おき上がる」「せのびをするように」「ぐんぐん」などを入れる理由が多い中、「じくがどうなるのか」を的確に表す言葉を取り上げることがポイントである、と教師が指示することで考えが一致した。ここでは「おきてのびるじく」といった体言止めのスタイルも指導した。

Cのちえ…「わた毛はいっぱいにひらいてとおくまでとぶ。」
 「いっぱいに」については、ただ開くのと様子が違うから必要という理由に児童一同納得の後、上のように至った。

 要約文学習はおもしろい。それには大きく2つの理由がある。1つは、キーウード見つけ。本文の読解が進んでいればいるほどキーワードを精選していく理由付けがおもしろい。もう一つは、討論的な話し合いが成立すること。「どうして?」「どう思う?」などの一般的な発問なんて全く必要なしに活発な意見交流が実現できる。
(京都文教短大付属小学校)