▼模擬授業をしたいという学生の希望で授業について指導をすることがある。児童役、教師役と役割を決めて始まる。さながら「学校ごっこ」のように開放された楽しい雰囲気を共有する。

▼その授業は教材「一つの花」の冒頭場面。教師役の学生が、「この話はいつの話ですか」「書き出しで思ったことや不思議なこと発表しよう」という発問が次々と飛び出す。脈絡は整わないが授業らしい雰囲気が整っていく。授業のイメージは小学生から高校までの自分の体験してきたこと。蓄えたことが固定している学生と柔軟な学生とに二分される。多くの授業を参観すれば、授業創造の芽があるという手応えも感じる。

▼授業改善について研究が進んでいるが効果は見えにくい。それは、自分の経験が大きな位置を占めているからであろう。経験が占める割合を小さくし、創造の部分を多くする必要がある。私の場合、心がけてきたことは3つ。よい授業を参観すること、よい実践記録に学ぶこと、自分が経験したことのない授業を試みること。

▼模擬授業の学生が目を輝かせるのは、板書を写す、ワークシートを書くというように学習活動の目的がはっきりしているとき。また、自分の考えと違った見方や考え方にふれたときである。模擬授業であっても本質は同じと思うことが多い。授業は奧が深い。(吉永幸司)