読みを深めるということ
箕 浦 健 司

 光村図書2年「スーホの白い馬」の学習から。
 全文を読み、初発の感想を書いたあと、子どもたちから出てきた意見をもとに、学習課題を立てた。
 第1場面では、「白馬を見つけて帰ってきたときの、スーホの気持ちを考えよう」がテーマ。音読をしたあと、スーホがどんな少年かが分かる文を探した。
「羊飼いをしています。」
「年取ったおばあさんと二人きりで暮らしています。」
「大人に負けないくらいよく働く、働き者の少年です。」
「歌を歌うのがうまい少年です。」

 次に、学習課題である、白馬を見つけて帰ってきたときの気持ちを考えた。子どもたちにたずねると、 「『オオカミに食べられるといけないから、連れて帰ってきたんだよ。』と書いてあるから、心配だったんだと思います。」
という答えが返ってきた。たしかに、スーホはそう話している。しかし、ここでYさんが、 「『にこにこして話しました。』と書いてあります。食べられるのが心配なのに、にこにこしている…?」と発言した。
 ここで、この子を大いに褒めた。「本当だね。挿絵を見ても、スーホは笑っているように見えます。よく気がついたね。この『にこにこ』の意味を考えながら、スーホの気持ちを考えてみよう」と投げかけ、ワークシートを配布した。
 実は、この「にこにこ」というキーワードは、教師の方から出そうと考えていた。大変うれしいことであった。

 子どもたちには、本時の最初に確認した、スーホの人物像を踏まえて考えるように助言した。以下は、子どもたちから出てきた意見。
「スーホは、年とったおばあさんと二人きりで暮らしてきたから、『家族が増えてうれしいな』と思っているのだと思います。」
「『兄弟が増えたぞ。うれしいな。もうさみしくないよ』と思ったと思います。」
「『一生懸命働いてきたから、神様がご褒美をくれた。がんばってよかったな』と思ったんだと思います。」 
 これで、「にこにこ」の理由についても、誰もが納得した。白馬との出会いを心から喜ぶスーホの気持ちに、共感することができた。

 言葉に注目し、その意味を考える。前後の文章の脈絡から、人物の心情を考える。基本的なことだが、子ども自身がキーワードを見つけ、課題提起がなされたこと、そこから学級全員の読みが深まったことが、大変うれしい1時間であった。
(長浜市立長浜南小)