読む視点から書く視点へ
弓 削 裕 之

 子どもたちに自分なりの視点をもって読書をしてほしい。そんな思いから「スーホの白い馬」(光村2年下)の授業を組み立てた。
(1) 繰り返し全文音読をする。
(2) スーホの白馬への思いを知る。白馬のスーホへの思いを知る。
(3) 自分の好きな場面を選び感想を書き、感想の交流をする。

 音読には4時間かけた。友達の音読からすらすらと読むためのこつを学んだ。
○きのうのこつをつかって読むと、れんしゅうの時よりも、とてもじょうずに音読ができました。わたしは、何十回何百回読んだり人の音読をきいたりして、ノートに書ききれないぐらい、いっぱいこつを見つけたいです。
○口を大きくあけて、はきはきと読む方がいいということをHさんやSさんに教わった気がしました。私は、その日から、家でスーホの白い馬を音読してみることにしました。今では、74ページまでつまらずに読むことができます。

 次に、スーホの白馬への気持ちがわかる言葉に線を引き、発表した。
○とのさまとスーホの「白馬、白い馬」は、ことばはにているけれど、気もちはぜんぜんちがうことがわかりました。
○はを食いしばりながら、白馬にささっている矢をぬいた。それは、白馬のことが大好きだからなんだなあと思いました。きず口からちがふきだしても、とめてあげて、これからも草原を走りまわりたかったんだと思います。

 今度は、白馬のスーホへの気持ちがわかる言葉に線を引き、発表した。
○白馬は、スーホが大好きだからとのさまの手からたずなをふりはなして、けがをしながらでもスーホのところへ帰ってきたんだとわかりました。
○白馬は、自分はもうしんでしまうとわかっていたので一こくも早く少しでもスーホに会いたいという気もちがあったから、風のようにかけていったんだと思います。

 子どもたちは「声に出して読む」「スーホの気持ちになって読む」「白馬の気持ちになって読む」の三つの視点を知ることができた。好きな場面の感想文も三つの視点で書かれており、視点を持って読めば、視点を持って書くことができることを知った。
○スーホが馬頭きんをひくところがすきです。みんなで音読するときにこの場面が早く出てこないかいつもドキドキします。気もちを考えて音読したいです。
○スーホがむちゅうで言いかえす場面がすきです。なぜなら、白馬といっしょにいたいという気もちがわかるからです。
○白馬がおおかみの前に立ちふさがる場面がすきです。なぜなら、大すきなスーホの羊を「まもりたい」と思って一生けんめいまもっていたことがわかったからです。

 今後も、「どんな読み方をしましたか?」と子どもたちに問い続けることで、日常的に視 点を持って読むことのできる意識を育てていきたい。
(京都女子大学附属小)