本棚
新編 日本語誤用・慣用小辞典 国語教師たる者、正確な日本語を使いたい。もっとも間違いと分かっていて使う人はいない。間違って覚えてしまっていると、誰かに指摘されるまで、自分では気づかない。そう言われると、誰にも不安はあるだろう。 第1部「意味の誤用」では「すべからく」が「すべて」の意味で使われていること、「まじる」と「まざる」の使い分けなどが取り上げられている。 第3部「語形の誤り」では、よく問題にされる「見れる」についても説明される。広く使われているといずれ正用法となるだろうと著者は言う。「とても」は「とても敵わない」のようにもともと否定的な意味で使われていたのだが今では肯定的にも使われ、誰も何とも思わなくなっている。「読まさせる」のような「サ入れ言葉」は時々耳にするが、誤用である。 第4部は漢字をめぐる諸問題。「意思薄弱・一身同体・痛みに絶える・恩の字・亡き人を忍ぶ」など、ぱっと見て誤用に気づくだろうか。また、「大地震・生そば・上意下達・市井・直截・初体験・他人事」など、読み方に迷うものもある。 自分の思い違いや思い込みがないか、一度本書で確かめてみてはどうだろう。(常諾真教) |