本棚  日本語という外国語
荒川洋平 著 BK1
講談社現代新書 2009.8 740円
日本語という外国語

 日本語ブームといわれ日本語に関する本は多いが、日本語教育について書かれた一般書は少ない。本書は日本語を「外国語」として考える視点を与えてくれる。
 どの言語にも特徴がある。日本語の特徴を、日本語を学ぶという点から見ると、難しく感じられるのは、@単語の数が多い、A相手をどう扱うかという仕組みが発達している、B表記が非常に複雑であり、漢字の数が多いこと。逆に学びやすい点は、@音の数が少ない、A動詞の活用がシンプルであることだという。

 第2章では「読み書き」、第3章では「音」、第4章では「文法」について、日本語の初級を教えるときの具体例を織り交ぜながら説明される。特に「日本語教育文法」が国語科で学習する「国文法」と異なる点がおもしろい。
 例えば「よむ」の活用は、「よむ(辞書形)よみます(マス形)よんで(テ形)よまない(ナイ形)よもう(意向形)よめば(条件形)よめ(命令形)」となる。終止形と連体形のように同じ形のものは分けない、助動詞が付くものはそこまで含めて活用ととらえる。学習者が日本語を用いるときになるべく覚えやすい切り分け方になっているのである。
 日本語を見直すきっかけになると同時に、外国人に教えるときの参考にもなる。

第1章 日本語はどんな外国語か?
第2章 日本語の読み書きは難しい?
第3章 日本語の音はこう聞こえる
第4章 外国人として日本語文法を眺めてみると
第5章 日本語表現のゆたかさを考える
第6章 日本語教育の世界へ
(常諾真教)