詩づくりへの誘い
三 上 昌 男

 新しい学習指導要領の「書くこと」の言語活動例に、詩を書くことがどの学年でも取り上げられている。そして、創造的な表現をすることの楽しさを実感させる大切さが指摘されている。
 5年生の子どもたちと詩の学習に取り組んだことがある。

◇好きな詩を集めて紹介する
 自分の気に入った詩を視写し、簡単な感想を書く活動を展開した。こうして集めた詩を、毎日少しずつ「私の好きな詩のコーナー」で発表し合った。

◇詩づくりに向かう
(1) 比喩を使って
(  )にあてはまる言葉を考えましょう。
 A 赤ちゃんの泣き声 (  )のよう
 B 草の中でコオロギが鳴いている (  )のように
〈子どもが考えた言葉の例〉
 A とぎれとぎれのサイレン・宇宙人の話・嵐
 B 小人の音楽会・音のリレー・波紋


(2) 日記を使って
今日の朝、玄関を出ると、強い風が吹いていてびっくりしました。学校に着くまで、寒くてたいへんでした。
 このような日記文を示し、個々の生活経験を思い起こして詩をつくるように働きかけた。


 「風」 (児童作品例)
 登校中、冷たい風が
 吹き込んできた。
 風は、服のすき間から
 体の中まで入りこんできた。
 身を切るような
 寒さだった。

(3) じっと見つめる
 こま回しを実演し、その様子を観察して詩づくりに取り組んだ。ひもを巻き始めるところから、こまが回り、静止するまで黙ってこまを見つめ続けるようにした。
 「こま」 (児童作品例)
 ねじられたひもに
 しっかりまかれ、
 こまはきゅうくつそうだ。
 手の中から飛び出したとたん
 一本足で、トン。
 着地に失敗したのか、
 辺りをぐるぐる回っている。
 それから、じっと止まって、

 天井とにらめっこ。
 ぐらぐら ぐらぐら
 こまが笑い出した。
 ぐらん ぐらん
 大きくゆれ出し、
 こまはねむそうな顔をして、
 ごろん。
 ゆめの中へと入っていった。

 詩づくりの授業を進めていると、言葉を選んで使うことに、子どもたちの意識が働いていることを感じる。それは、一つ一つの言葉に、どれだけ思いや意味をこめるかを考えることでもある。
(安土町立安土小)