授業改善の歩み(4)詩「じっと見ていると」
吉 永 幸 司

 「じっと見ていたら」「見とれて」を大事にして詩を読ませるようにした。しかし、2回の授業は詩の入り口に入っただけであった。様子を思い浮かべながら読むことを大事にして、深まりのあるものを志し、3回目の実践をした。(指導学級は公立・私立3年・1時間扱い)

1.授業の仕組み
(1) 目標 様子を思い浮かべながら読む
(2) 指導の形
 「様子を思い浮かべる」を目標にすることを指示して、詩を音読させた。「見る」に似た言葉に線を引かせたり、4連でできていることを指導した後、1枚の画用紙を横向きにして黒板に貼った。
 1枚の画用紙を提示しただけなのに教室が動いた。「何が始まるのだろう」という新しいものへの興味である。

T この画用紙に絵を書きます。詩を読んでいると、絵が書けるところがあります。それを言葉で説明するのです。
と、働きかけた。
「3枚の絵を書くのですか」というつぶやきがあったので、「1枚で書く」と条件にした。
「雲・けしごむ・イチョウの葉」はすぐに答えが出た。
「4行目は絵が書けない」というつぶやきもあった。
「人は書かなくてもいいのですか」という質問に答えて絵に人を加えた。人は絵の得意な子に書かせた。
 雲は上の方、イチョウの木と葉は真ん中、下のほうに消しゴムを見ている人という構図ができた。

T 絵に書けないものはなぜでしょう。 
と問いを変えた。当然「言った」ということを答えた。
T 雲の声が聞こえてきたのですか。消しゴムが話したのですか。と、意地悪く聞き返した。
C 言ったように思った。
C 雲を見ていたら、雲が言ったように思えた。 
 このように考えを修正する過程で3連目には「言った」と書いてないことに気づいたり、4連目は絵には書けないけれど大事なことが書いているという方向へ話し合いが広がっていった。

 最後は、自分で筆箱や鉛筆を作ってみたいというように学習活動が動いた。音読で最後を締めくくった。

2.授業の改善
○授業を活性化させるには、考えを集中させる働きかけ(今回は1枚の画用紙)が大事であること。
○考える手がかりを得ると話し合いは深まってくる。
(京都女子大学)