読みの視点を育てる「スイミー」
箕 浦 健 司

 作品の世界に素直に入り込み、どっぷりと浸ることができる2年生の子どもたち。場面の様子やスイミーの気持ちを考えて、お面を付けて音読したり、動作化したりしながら学習を進めていく中で、「読み」の力をつける目的で、以下の取り組みを行った。

1.場面分け
 教科書の挿絵(5枚)を参考に、場面分けを行った。「この5枚の絵で、紙芝居を作るとしたら、それぞれの場面は、どこからどこまででしょうか」と投げかけ、学習を始めた。
 確認の時間は、考えの根拠を説明させることを大切にして進めた。だれもが納得して決まった場面もあったが、意見が分かれる場面もあった。無理に1つの意見に限定することはしなかった。挿絵を拡大したものを紙芝居に見立て、子どもたちから出た場面の変わり目で紙をめくりながら適切かどうかを確かめ合った。ここで、子どもたちからは言葉に注目した意見が多く出てきた。

「『スイミーはおよいだ、くらい 海のそこを。こわかった…』という文は、まぐろにおそわれたときの気持ちだから、2の場面だと思います。」
「『…スイミーは、だんだん元気を取り戻した。』は、くらげやうなぎを見て元気になったのだから、3の場面だと思います。」
「最後の絵は、もうみんなで大きな魚のように泳げるようになっているから、『…およげるようになったとき』からが、5の場面だと思います。」

 自分の意見にこだわる子も、このような意見を聞くと、「ああ、そうか」と納得する。2年生で場面分けは難しいかとも思ったが、言葉に着目した意見から、話し合いが大いに盛り上がり、物語の大体をつかむことにつながった。

2.比べ読み
 レオ=レオニの作品を1人1冊分用意した。まず、『あいうえおの木』を教師が読み聞かせし、『スイミー』と似ているところはないかを尋ねた。
「みんなで力を合わせるところが似ています。」
「最初は悲しいけど、最後は幸せになるところが似ています。」
「はじめはできなかったことが、最後はできるようになることろが似ています。」

 当初は「こんな作品もあるよ」くらいの気持ちで、いろいろな作品に触れさせたいと思っていたが、「作品を読み比べる」という経験も大切かと思い、実施した。今回は、上記のような、作品を外から眺め、分析した読み、答え方をだれもができたわけではなかった。「似ているところ」というこちらの投げかけが、抽象的で難しかったようである。しかし、何事も繰り返すことで、力がついていくと考える。多角的な読みの視点や力を、朝の読書の時間や家庭読書の機会等を活用し、継続した取り組みの中で育てていきたい。
(長浜市立長浜南小)