第22回「新しい国語の授業」研究会
研究会に学ぶ
三 上 昌 男

 7月25日(土)、近江勧学館において、第22回「新しい国語の授業」研究会が開催された。
 今回の研究テーマは、「国語でつける基礎力の構想」である。

 実践提案では、井阪恵子先生(奈良県上牧第三小)と好光幹雄先生(大津市堅田小)のお2人が発表された。
 井阪先生は、1年生を担任されていて、「話し言葉中心」から「話し言葉+書き言葉」へ学習を進めた1学期の取り組みを報告された。国語科や生活科で、友達との対話を取り入れた伝え合いの学習を展開されている。また、文字を習った子どもたちが、「絵と単語で表す段階」「絵と簡単な文で表す段階」「文字だけで表す段階」へとステップアップしていく日記(あのね帳)の取り組み等を紹介された。「本当の言葉の力は、言葉で自己表現し、言葉で人とつながる喜びと共にある」という考えのもと、伝え合う力を育てる入門期の指導のあり方を提案してくださり、学ぶことが多かった。

 好光先生は、「言語感覚と語彙力を豊かにする詩の指導」について提案された。言語感覚の要素(美醜・正誤・適否)や語彙力の要素(語彙獲得力・語彙の数と質・語彙選択力)にふれながら、詩や俳句の指導が言語感覚を養い、語彙力を育成することについて述べられた。また、指導の実際として、2年生における詩の授業「わたしの手」を演習を取り入れて紹介された。また、作家の詩をまねて詩づくりを楽しんだり、五感を働かせて詩づくりに取り組んだりした豊富な実践例を紹介いただき、学ぶことができた。

 記念講演では、4年生の教材『ごんぎつね』の挿絵なども描かれている絵本作家のかすや昌宏さんに「イメージと表現」と題してお話しいただいた。
 読者が、物語のイメージをそれぞれの心の中に描けるように、説明的な絵にならないように考えておられる。また、物語文をじっくり読み込んで、丹念な調査と豊かな想像力により、1枚の絵をどう表すかを考えておられる。画家としての姿勢や深い思いを語ってくださり、多くの示唆を得ることができた。

 吉永幸司先生の講話「本研究会で学ぶこと」では、お話を伺いながら、国語科の授業が「生きる力」の基礎となる「力」や「意欲」を育てることの大切さを改めて確認することができた。
 言葉に丁寧に向かい合うことがよい国語科の授業の始まりである。言語力に関するめざす子どもの姿を描き、丁寧に「読む・書く・話す・聞く」活動がある授業により基礎力を育てたい。
(安土町立安土小)