作家のことも考える
北 島 雅 晴

 「作家と作品を関わらせて読む」という学習を始める時のこと。子どもたちに知っている作家を発表させようとした。ところが、本好きである数名の子を除いて、作家の名前を言うことができないという現状であった。本は読むが、まだ作家には目を向けていないし、ましてや好きな作家には出会っていない。
 そこで今回の学習では、まずは作家に目を向けること、作家と対話をしながら読むことを通してより深い読みができるようにすることを目標にした。

 教材文「宮沢賢治」(東京書籍6下)を読む。宮沢賢治の作品と生き方を紹介した文章である。学習の課題を次のように決めた。
◇課題1
 宮沢賢治は、どのような作品を書きましたか。また、どの作品を読んでみたいですか。(1時間)
◇課題2
 宮沢賢治の生き方で大切だと思う言葉を7つ選びましょう。その中から2つを選んで、賢治の生き方について、あなたの考えを150字で書きましょう。(2時間)
◇課題3
 「作家と作品を関わらせて読む」とは、どのような読み方でしょうか。課題1と2で学習したことを参考にあなたの考えを書きましょう。(1時間)

 この3つの課題を通して、作家の生き方に目を向けることと、どのような読み方をすればよいのかについて確かめた。
【作家と作品を関わらせて読む】
○作家が、どのような思いでその作品をつくったのかを考えながら読む。
○作家が読む人に何を伝えたかったのかを考えながら読む。
○作家がどんなことを大切にしているかを考えて読む。
といった意見が、子どもたちから出された。

 宮沢賢治、椋鳩十、あまんきみこ、3人の作家を紹介し、1人を選んで、その作家の作品を読む学習を始めた。
「あまんきみこさんは、不思議な話を作るのだなあと思った。」
「あまんきみこさんの作品には、優しい人が必ず出てくる。」
「椋鳩十さんは、動物のことをよく調べていると思いました。」
「椋鳩十さんは、動物が大好きで大切にしたいと思っていることがわかりました。」
 1作品を読んだら、このような簡単な記録をつけている。「〜がおもしろかった。」といった感想とは違う視点で考えられるようになってきた。複数の作品を読むことで見えてくることも多い。
(草津市立志津小)