考えをわかりやすく書こう
岡 嶋 大 輔

 身の回りや社会のできごとに関心を持ち、それらに対する考えを述べている様子が伺える5年生。考えを述べる際に、相手にわかりやすく述べることができるようにと願って本単元を設定した。
 本単元でいう「わかりやすく書く」ための内容とは、「考えの根拠を明確に示す」「考えに関連する自分の体験に基づく具体的事例を挙げる」ということや,「書く事柄の順序」や「書き出し」を工夫すること、「適切な接続詞を使う」ことである。そのようなことを踏まえて書くことによって、考えをよりはっきりと伝えることができ、読み手を納得させるように書くことができるのである。

 本単元では、まず、「旅行に行くなら、車の方がよいか、電車の方がよいか」という題材で、両方の立場からそのように考えられる根拠を出し合った。
 次に、自分の立場を決め、根拠を含めて文章に表した。ポイントは、「初めて読む人にもはっきり伝わるように」「読む人が納得できるように」とした。
 そして、書いた文章を、まずは家の人に読んでもらい、先程のポイントに即して感想を書いてもらうようにした。それから、学級の全員分の文章が印刷されているものを読み、「わかりやすく書くための工夫」について話し合った。出てきた工夫をまとめると次のようになる。
 ○自分の「経験」を書く。
 ○「経験」を書き、その時の「気持ち」も書く。
 ○事実を確かめ、数字を使って書く。
 ○具体的な例を書く。
 ○根拠を2、3並べる。
 ○反対の立場と比べて書く。
 ○反対の立場の考えも認めつつ書く。
 ○「どんな」「なぜ」と、具体的に書く。(「好きなことができる」→どんな好きなことか具体的に) (「くつろげる」→なぜくつろげるのか具体的に)

 指導者の予想以上に子どもは多くの工夫を見つけることができた。その理由は2つある。
 1つ目は、いくつかの目で自分の文章を読んでもらったということ。その反応を受け取ることで、自分の文章のよかったところや改善点が見えてくる。
 2つ目は、学級の仲間の文章を学習の対象としたこと。特に「よさ」を見つけ合うことは、子どもは大得意である。よさを認めた上で「もっとこうしたら…」と改善案を出せる雰囲気も大切である。
 工夫を見つけた後は、それを生かして文章を書いていく。
(滋賀大学教育学部附属小)