授業改善の歩み(1) 詩「じっと見ていると」
吉 永 幸 司

1.授業改善の取り組みの動機
 授業について語るとき「子どもが生き生きしていました」「考えを深める授業でした」という評価の言葉が生まれる。新任教員もベテランの教員も同じ言葉を使うが、質は違うだろう。
 授業は授業者でないと分からないことがことがいくつもある。特にうまくいかなかったなと思う時に多い。その壁を乗り越えることが授業改善と心得て試みた。
 活用した教材は、詩「じっと見ていたら」(高田敏子)。指導の学年は3年生。

2.教材について
 詩は4連で成り立っている。

  じっと見ていると   高田 敏子

 流れる雲を見ていたら
 雲がいったのよ
 「いなかのおばあちゃんが
  ほしがきをたくさん作っていますよ」

 消しごむをじっと見ていたら
 消しごむがいった
 「なくさずに だいじに 使ってね」

 金色のイチョウの葉
 きれいねと見とれていたら
 「さよなら さよなら また来年ね」
 風に吹かれて 散っていった

 なんでもじっと見ていると
 聞こえてくる いろんなことば
 いろんな おはなし

 じっと見ていると「いろんなことば」「いろんなおはなし」が聞こえてくると第4連で心の内を吐露する。ゆったりとした時間の流れを感じる詩である。
 まず、指導目標を「様子を思い浮かべて詩を読む」ということにおいた。
 指導の手がかりになるところを思いつくままにあげてみた。
 (1) 「じっと見ていると」「雲を見ていると」「きれいねと見とれていたら」の「見る」を比べる。
 (2) 流れる雲(遠)消しごむ(近)金色のイチョウの葉(中)の距離。
 (3) 「雲がいった」「消しごむがいった」のように、言ったように思えること。
 (4) 「なんでもじっと見ていると」の「なんでも」から思い浮かぶことを作る。
 (5) 「いなかのおばあちゃん」「なくさずに」の会話文の意味。言っているように思ったこと。
 これらの指導事項をもとに詩を繰り返し読むことを大事にしながら授業を実践した。
(京都女子大学)