表現を味わう詩の指導
谷 口 映 介
詩『出発』(大阪書籍6年上)を内容が生き生きと表れるように、声に出して読むことをねらいとして実践した。 まずは、変化を付けながら、教材を何度も読ませた。 ○全員で読む。(一斉読み) ○一人で読む。(一人読み) ○一行交代で隣の人と読む。(二人読み) ○口を大きく開けて、早口で読む。(早読み) ○一行ずつ交代しながら、全員で読む。(へび読み) ○列で声を合わせて読む。(列読み) ○一行ごとに読む人数を増やして読む。(増え読み) 全員が詰まらずに読めるようになったところで、行間に書き込みができるように一行ずつ空けながら、ゆっくりと読みやすい字で視写をさせた。そうしてから、詩から感じたことを交流した。児童からは、「マラソン競走前の、緊張感が伝わってくる」など、自分の経験と重ねながら、自由な感想が出された。 次に、詩の中に三度出てくる「好きだ」の読み方を工夫することを目標に、音読練習に移った。練習の時には、視写したノートの行間に音読記号や、なぜその記号を選んだのかの理由を書かせた。記号については次の通りである。 <二重線> 強く <点 線> 弱く(静かに) <細直線> 速く <波 線> ゆっくりと < V > 間を空けて その後、グループに分けて音読を聞き合う時間を設けた。グループで読み方を話し合うことで、お互いの読み方の良さに気付き、グループとしての読みに活かすことができた。例えば、最初の行は一人で読み、強く読みたいところは人数を増やすなど、強弱や緩急、間などを人数割りで表現しようとする工夫などが見られた。 グループで読み方を練習した後は、音読大会を開き、他のグループの読み方を聞き合った。先の増え読みを活かして、読む人数を増やしていく発表もあれば、強調したい語句は全員で読む発表もあるなど、多くの違いが見られた。発表後は、「どんな工夫があったか」「どんな良さ(効果)があったか」を聞き手に発表させた。児童からは、「全員で読むことで、気持ちの強さが表れていた」「人数を増やして読むことで、気持ちが盛り上がっていくことが分かった」などの意見が出された。 今後も、表現の工夫やそれぞれの読みの良さに気付かせる学習を進めていきたい。 (竜王町立竜王西小)
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