「短歌」も分かれば面白い!
西 村 嘉 人

 「伝統的な日本の文化に親しもう」をテーマに「短歌・俳句の世界」(光村6上)の学習を行った。「伝統的な」に「今につながる表現の世界」を加味して、次のような全6時間の指導計画を立てた。
@ 飛鳥・奈良時代から平安時代頃の和歌を読み味わう。
A 近代の短歌を読み味わう。 
B 現代の短歌を読み味わう。
C 江戸時代の俳句を読み味わう。
D 近代、現代の俳句を読み味わう。
E 現代の俳句を知り、俳句作りを楽しむ。

 この計画の3時間目を校内研究で公開した。指導のねらいを、
○口語短歌4首を繰り返し読み、前時までに読んだ短歌と比べながら、言葉の響きの違いなどを感じて、感想を表すことができる。
とし、短歌で作者が表したかったことを想像して感想を書く学習活動を取り入れた。取り上げた4首の短歌は、次の通りである。

 思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ (俵万智)
 定期券を持たぬ暮らしを始めれば持たぬ人また多しと気づく (俵万智)
 体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ (穂村弘)
 マガジンをまるめて歩くいい日だぜ ときおりぽんと股で鳴らして (加藤治郎)

 4首の短歌を視写する学習活動から始め、音読(一斉読→指名読)を繰り返し続け、暗誦できるところまで読ませた。次に、4首の短歌から1首を選び、感想を書き、同じ短歌を選んだ子ども同士で即席のグループを組み、感想の交流を進めさせた。

 3つ目の短歌を読んでいるときから、「『ゆひら』ってなんだろう」とつぶやきが聞こえていたのだがあえて何も解説をしなかったら、選んだ子どもが1人だけだったので、この子には時間の終わりに意見発表をさせてみた。
「体温計をくわえたままで、外を見ていたら雪が降ってきたので『雪だ』とはしゃいでいる様子が目に浮かんできました。雪のことかよ、の言葉との差が面白かったです。」
と発表した。
 この感想を聞いた子が、
「『ゆひら』って『雪だ』か。それならこの短歌を選んだなあ。」
と思わず漏らした。そして、
「『ゆひら』って気付けないよなあ。さすが!」
と続けた。短い付け加えの言葉「さすが!」に教室で学習する魅力が見えた1時間であった。
(彦根市立城南小)