段落のつながりをつかむアプローチ
川 那 部 隆 徳

 説明文の学習で、段落のつながりをとらえるには、大別して次の二通りの手法が考えられよう。
○問題を投げている段落、その答えが書かれている段落を探し、「Q&A」の関係から段落のつながりを考える手法。
○子どもたちの感想や発見を整理する過程で、段落のつながりを明らかにしていく手法。
 今回の実践は後者にあたる。

 説明文「『かむ』ことの力」(光村4年上)では、段落ごとに驚きや発見したことから段落のつながりをとらえることをねらいに次のような学習を構成した。
(1) 初めて知ったことや、びっくりしたこと、大事だと思う事柄などを各自ノートに書き出す。
(2) グループでの相談を経て、段落ごとに、まとめた事柄を短冊に書き上げる。
(3) 段落ごとに各グループの短冊を板書に張り出し、一斉の場での交流を通して、関連する内容をまとめる。
(4) 段落のつながりを整理する。

【(4)の段階】
T たくさんの短冊が張り出された段落があるのに、1枚も張り出されなかった段落があるのはなぜだろう。短冊が1枚もない段落は、どんな段落でしょう。
C @の段落で、「かむって、どういうことなのでしょう。」とか、「よくかむと、どんないいことがあるのでしょう。」というように、問題を出している。
T @では、2つの問題を示しているということだね。
C Dの段落で「かめばかむほどいいことは、ほかにもあります。」とあって、前に書いたことのほかに、かめばかむほどにいいことをその後で書いている。
C Dのところで、大きく2つに分かれるように思う。
T どんなふうに分かれるのかな。
C Dの前は、「かむ」ことの説明で、「そしゃく」や唾液のことで、後は、「よくかむ」ことのいいことが書いてある。
(中略)
T 短冊を貼った段落と貼らなかった段落とのちがいがわかってきたかな。
C 短冊を貼った段落は、説明が書いてあって、例えば、よくかむとどんないいことがあるかとかの答え。
C 短冊を貼らなかった段落は、問題を出したり、そのほかにというように、これからちがうことを書きますよって教えてくれていると思う。(後略)

 短冊のあるなしの理由を考えることで、段落の役割がはっきりし、段落のつながりが明らかになっていった。説明文との出会いで抱いた感想や驚きがその後の学習に活かされていった。
(滋賀大学教育学部附属小)