本棚  多読術
松岡正剛 著 BK1
ちくまプリマー新書 2009.4 800円
多読術

 ウェブ上に毎日1冊ずつ本の感想を書く。原稿用紙にして10枚から15枚。土日を除いて1000日続ける。それが『千夜千冊』である。目次を見ても、取り上げられている本の多様さに驚く。1人の著者は1冊だけ。(毎日の更新ではないが、『千夜千冊』は今も続いている。)このような著者の読書法や読書観を本書では知ることができる。

 無知から未知へ、それが読書の醍醐味。無知があるから未知へ向かえる。読書は、つねに未知の箱を開けるという楽しみ。

 読書の3R。本はウィルスでもあるし劇薬でもある。一方で漢方薬でも抗生物質でもある。読書にはリスクが伴う。読書するには、書物に対してリスペクト(敬意)をもつことも必要。3つ目はリコメンデーション(おすすめ)。友人、知人、先生から薦められた本を読むことが「好み」の本に出会うきっかけになる。

 複合読書法。類書は一緒に読むと速く読めるし理解しやすい。本から本へ関連し合っているものを読む。たくさんの本とネットワークしていく可能性をもった本がある。それがキーブック。そこから読書の方向が広がっていく。

 本書には読書を楽しむコツがいっぱい詰まっている。「背表紙の並びを見ているときから読みが始まっている。」(常諾真教)