第21回「新しい国語の授業」研究会
地道に確実に
伊 庭 郁 夫

 2月14日、近江八幡市の男女共同参画センターで「新しい国語の授業」研究会が開催された。既に、21回を数える。県内外から熱心に参加頂き感謝している。
 さて、私は研究協議コーディネーターという立場で全体の進行をしながら、少しでもお土産を持って帰っていただこうと思った。

 まず、彦根市立平田小学校の池崎繁伸先生のご提案。3年生の実践で、考える力を伸ばす「書くことの取り組み」である。
 底辺に流れるのは、「優しく美しい言葉で人とよりよく関わり合う経験を意図的に積ませる」点である。子どもの褒めて欲しいという願いを受け入れる。子どもの書いたものに毎時間手を入れる。先生に見てもらう時、しゃべると一番後ろに回るという徹底ぶり。「ポエムタイム」「えんぴつタイム」「読書日記」「一行日記」など地道な取り組みが光る。

 続いて、湖南市立下田小学校の村地和代先生のご提案。1年生の実践で「読む」「書く」力を伸ばすための指導法の工夫である。
 目を引くのは、1年生の担任が決まった時、まず「国語の年間指導計画及び評価規準一覧」を作成された点。新しいキャンバスに絵を描くように年間の構想を描く。その構想が「のりもののことをしらべよう」でも生きている。「色分け短冊」「モデリング」「繰り返し書く」ことでどの子も書けるプロセスを示す。体育館で手作り図鑑を広げた時の子どもたちの歓声が聞こえてきそうである。

 更に、湖南市立菩提寺北小学校の廣瀬久忠先生から、本物の「言語力」をつける教室の構想についてのご提案。
 朝の昇降口での「おはよう」のかけ声や小黒板への「今日の歳時記」の日々の書き綴り。健康観察における「はい、元気でございます」といったゲーム感覚の敬語指導。言葉には「思い」が宿ることを認識しなければと思う。

 最後に、京都女子大学の吉永幸司先生から「本物の言語力」をつけるというテーマでお話を頂いた。特に、ピンチをエネルギーに変えるというメッセージが伝わってきた。国語の授業でも、一番困ったとき、思いきり苦しみどう乗り切るかが勝負の分かれ目である。話し方として「相手の目を見る」「内容がある」「短い言葉で話す」というポイントも示された。私たちも訓練していかなければならない。また、小学校・中学校を見通した言語活動例の資料も活用する必要がある。

 進行では、時間と発言の交流を意識した。ご協力に感謝します。
(大津市立和邇小)