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教育格差の真実 どこへ行くニッポン社会 教育評論家の尾木氏と経済アナリストの森永氏との対談本。経済格差と教育格差がどのように連動しているかがよくわかる。 森永氏は、新自由主義社会の特徴を次のようにまとめている。@規制緩和や民営化を進めて市場に任せ、小さな政府にする。A金持ち層や大企業には減税し、庶民には増税する。その結果「勝ち組」「負け組」と言われるような経済格差が大きくなる。B拡大した格差の下では金持ち層だけが高学歴を得られ、公教育のレベルを下げる。 一方、学校選択制や学力調査の結果公表によって、児童生徒の集まらない学校・地域ができる。引っ越してくる人が減ると空き部屋が増え、地価も下がる。地域間の格差が大きくなっていく。 ユニセフが行った青少年の幸福度調査(2007 OECD加盟21か国)で「孤独を感じる」のは、日本が29.8%で第1位、2位のアイスランドが10.3%だから、ダントツで日本の子どもたちの心が孤独で自己肯定感に満たされていないことが紹介されている。習熟度別授業のコース所属を「本人」に決定させ、テストと通知票で「自分の棲み家・階層」を「自覚」させていき、「格差」を子ども本人の自己責任のように信じ込ませているという指摘に対して、「そうではない」と言い切れるだろうか。 第1章 深化する格差社会 第2章 経済格差が教育格差を生む 第3章 教育格差と偽装学力 第4章 格差時代をどう生きるか (常諾真教)
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