感想交流から内容の理解、紹介へ 〜昔話を読もう(2年生)〜
川 那 部 隆 徳

 新学習指導要領では、「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」が新設され、「古典」についての指導を充実する方向が示された。それに伴い、低学年では、「昔話や神話・伝承などの本や文章」を話すこと・聞くこと、書くこと、読むことの指導を通して取り上げることが明記された。
 昔話の指導に当たっては、各領域との関連で学習を構成していくことが重要であるといえよう。
 そこで、昔話を読んだ感想を書いたり、交流したりする過程で、「時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと」ができるような授業をすすめるとともに、読みためた昔話について、読書紹介を書いたり、話したりする活動の場を設定した。

「力太郎」(旧光村)の感想交流場面より
「力太郎」を読んだ子どもたちの一言で表した感想を、多い順にランキングにまとめると次のようになった。
@おもしろかった
 Aすごかった
 Bやさしい
 Cびっくりした
 Dこわい
 Eいいお話
 Fふしぎ
15名
  9名
  2名
  2名
  2名
  2名
  1名

 これをもとに、内容を伏せた状態で、どのような感想が多かったかを予想させながら、その感想がなぜ多いと考えるのか理由を問うていった。そして、実際の感想や人数を示し、話の展開の順序に従って、板書に発言内容を整理した。

 例えば、「おじいさんとおばあさんのこんびで作った人形が動きだしたのがふしぎ」と答えると、話のはじめにあたる箇所に「おじいさん」「あばあさん」「こんびでつくった人形」「うごく」「ふしぎ」を板書する。「化け物を退治して娘を助けてあげたからやさしい」という意見が出ると話の終末部に「ばけ物をたいじ」「むすめをたすける」「やさしい」を板書するといった具合にである。
 このように、感想やその理由を整理していくと、登場人物や出来事、人物の思いなどが板書上に時系列にまとまり、昔話の大体の内容をつかむことができた。

 また、同じ「おもしろかった」という感想でも、子どもたちは、「力太郎が化け物を倒したところ」を指摘したり、「のっしじゃんが。のっしじゃがんが」と力太郎が歩くところを取り上げたりするなど、人によって「おもしろい」と感じる箇所が様々にあることに気づき、感想の交流が活性化した。
 次いで、「力太郎」の紹介を読書カードにまとめた。これを比較の視点に他の昔話を読み進めていった。
(滋賀大学教育学部附属小)