本棚  外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か
白井恭弘 著 BK1
岩波新書 2008.9 700円
外国語学習の科学

 中学、高校、大学と英語を学んでも、なかなか使えるようにはならない。外国語教室へ通っても、だれもができるようになるわけではない。「必要に迫られなかったから、ものにならなかった」と思ってあきらめていることが多いが、教え方や学び方に問題はなかったのだろうか。小学校から英語を始めたら、この状況が変わるのだろうか。

 本書は、第二言語習得研究(Second Language Acquisiton)という学問分野の研究成果を紹介されている。第二言語というのは英語に限らない。英語母語話者にとっては、フランス語や日本語を学ぶことが第二言語習得である。アメリカでは高い外国語能力を持った人材育成法の研究に多大の補助金が出ているという。

 最後の章では、研究成果を元にした「効果的な外国語学習法」が述べられている。
 初級者が無理してアウトプット(話す・書く)するより、多くのインプット(聞く・話す)が必要であるという。それも自分の興味のある分野から始めると意味を理解しやすい。インプットによって第二言語の音声、語彙、文法の自然な習得がすすむ。もちろん続けるためには強い動機づけが必要だが。(常諾真教)