合同研究会で学ぶ
伊 庭 郁 夫

 8月2日・3日、六甲山の瑞宝園での第36回合同研究会に参加した。研究主題は「これからの時代に求められる国語学習」であり、サブテーマは「言語力をどう育てるか」であった。  折しも、新学習指導要領の改訂の時期であり、刺激とやる気を頂いた。

 講話は「東風の会」の高光義博先生。今年は、北京オリンピックの年。その中国の大学で日本語を教えておられる。日本語ブームで、385大学に日本語学科が設置されているという。昨年の日本語能力検定の受験者の半数は中国人で25万人だそうだ。多くの資料や写真から、中国学生の一面を知ることができた。

 「土の会」からは、「今井鑑三氏から学ぶこと」と題して稲垣和秋先生から研究発表があった。今の教育は、事務的になっていないか。もっと、人間性豊かなものにならないかという警鐘を鳴らされた。教材解釈は、その深さにおいて教師の人間としての成熟や深化に比例するという示唆を頂いた。

 「竹の会」の西田淳先生からは、「一つひとつの文章に注目しながら物語を読み、みんなで読み深めていく楽しさを味わう」という追求課題で発表があった。教材は「海のいのち」であり、共同学習の課題は「どんな太一か」である。克明な授業記録には、自分の考えを持って話し合いに臨み、考えを比べながら話し合う授業の姿が伺える。「おたずね」のできる子を育てるという人間教育が背景にあると感じた。 

 「さざなみ国語教室」からは、白髭英之先生の提案。「自分の考えを自分の言葉で伝え合う授業をめざして」というテーマで、「生き物はつながりの中に」の実践発表であった。「つながり」をテーマにイメージマップを書いたりキーワードをもとに要約文を書く学習活動が展開される。どの子どもにも、一定レベルの要約文が書けるよう地道な取り組みがなされていた。

 「東風の会」の浅川功治先生からは、「音読を軸とした国語教室づくり」の提案。音読が始まる前に拍手、終わると拍手するのが自然になったという。音読カード、音読発表会、おうちの方の感想集などが効果的に関連し合った取り組みであった。

 また、「森の会」の後藤鎮房先生の「一人学習の力をつける」と題した講話も勉強になった。教師も一人勉強をし、豊富な体験や知識を持つことが大事だと力説される後藤先生。今井鑑三先生の熱い思いが脈々と続いていることを感じた二日間であった。
(大津市立和邇小)