えっ!この2行で詩なん?
西 村 嘉 人

 どのように子どもたちに指導をしたらよいのか、考え倦ねて、お茶を濁すように指導をしてきた詩がある。

  太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ
  次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ


 丁度、校内研究会で授業を見てもらう機会があったので、この詩の授業を思い切って見てもらうことにした。
光村図書の教科書では、「晴間」「海雀」「雪」と3編の詩を「味わって読もう」という単元構成になっている。そこに「われは草なり」を加えて、4編の詩を次のような段階で指導を進めた。

(1)「晴間」を音読、視写、暗誦できるまでひたすら読み続ける。
(2)「海雀」を音読、視写、暗誦した後、思い浮かぶ風景を話し合う。
(3)「雪」を視写、暗誦した後詩から思い浮かぶ疑問点について、互いの意見を交換し合う。
(4)「われは草なり」を読んで感じたことを話し合う。

 さて、「雪」の授業である。子どもたちが繰り返し音読し、暗誦した後で発表した疑問は、
・太郎と次郎は兄弟か。
・太郎と次郎は同じ家に住んでいるのか。
・だれが眠らせているのか。
・太郎の屋根(次郎の屋根)とは、太郎(次郎)の家の屋根なのか。
・題名がどうして「雪」なのか。
である。

 これに対して、子どもたちは、
「季節は冬で、外は雪がふっていて、一面の雪景色。」
「太郎と次郎はちがう家に住んでいる。」
「太郎と次郎は、兄弟ではなくて、どこの家にも同じように雪がふっている。」
「太郎と次郎は兄弟だけど、大きくなって、今は別の家に住んでいるけど、兄弟に同じように雪がふっている。」
「まるで雪が眠らせているみたいに感じた。」
「雪が降っている夜に、お母さんが太郎や次郎をふとんで眠らせている。」
などの発言が次々と出てきた。

「『雪』という詩は2行だけで、いろんな思いや風景が出てきてすごいと思いました。詩から考え出すのはむずかしかったけどなれてきました。」
と子どもが学習感想を書いた。
 とにかく、子どもの話に耳を傾けようと、取り組んだ授業。驚きっぱなしの45分間であった。
(彦根市立城南小)