▼全校音楽会が成功のうちに終わった。音楽の担当者が、事前に感想を書かせることを予告しなかったが、成功したのを機に書かせたいと急に思いつき、全校に大急ぎで依頼をした。帰る間際の短い時間に指示。

▼「マルセリーノの歌のリコーダーはすごくきれいだった。鉄琴が入っているのがよかった」「短調が多いのがまた、きれいだった」「チムチムチェリーの歌をもう少し口をあけて大きく歌う」「アルトとソプラノのちがいがよく分かった」「2パートに分かれていたときが特にきれいだった」短い時間に印象を書くというだけの指示。

▼できあがった作文を読み返しながら、次のところに子どもの成長を感じた。一つ目は、急に書くことを指示されても、「いや」「どうして」と言わずに書いたという事実。書くことを厭わない子に育っていることである。二つ目は、「面白かった」「よかった」という言葉でなく、音楽会に参加しないと書けないようなことを書いたということ。

▼これは、日頃の国語科授業と無関係ではない。授業のどこかで書くことを位置づけること、そして、使い慣れた言葉を使ってまとめるのではなく、自分の言葉で表すことをそれぞれの学級で大事にしているという積み上げがある。書くことの日常化は地道な積み上げから育つという手応えを感じる。(吉永幸司)