互いに尊重し合える人間関係を育むために
中 嶋 芳 弘

 本校の校内研究会では、これまでの研究成果をふまえ、
(1) 生徒指導推進部会「思いやりっ子部」 互いに認め合い、自分の思いが安心して表出できる学級集団作りにつとめる。
(2) 教科教育推進部会「学びっ子部」 自分の思いを豊かに正しく伝える、生きて働く表現力(書く力を含む)の育成につとめる。
(3) 支援推進部会「元気っ子部」 学習活動に入りにくい児童の継続的な実態把握と児童・家庭への支援を進める。
の3つの方向から、研究を進めていくこととした。

 「思いやりっ子部」では、1・3・5年生で、ソーシャルスキル授業の公開と研究協議会。また、「学びっ子部」では、2・4・6年生で、国語科の授業の公開と研究協議会を。「元気っ子部」では「なかよし学級」授業公開と特別支援教育についての研修を計画した。

 両親の共働き、核家族化、少子化、住民の個人主義、子ども達のスケジュール化による孤立化が、人間関係能力低下の原因の一つと考えられている。つまり、人づき合いが自然に身につかない現代社会において、相手に自分の意思を伝え相手の気持ちを尊重する子どもを育てるプログラムとして「ソーシャルスキル教育」が必要になっている。「互いに尊重し合える人間関係を育むこと」を国語科だけではなく「ソーシャルスキル教育」に求めたゆえんである。

 1学期は、5年生のソーシャルスキル授業研究会と2年生の 国語科の授業研究会「ともこさんはどこかな(話す・聞く)」を持った。ソーシャルスキル授業研究会には、田原恭蔵先生(元帝塚山大学教授)をお招きした。そして、これからもご指導をお願いすることになった。

 「ソーシャルスキル教育」の内容は、 @あいさつ A自己紹介 B上手な聴き方 C質問する D仲間の誘い方 E仲間の入り方 Fあたたかい言葉かけ G気持ちをわかって働きかける Hやさしい頼み方 I上手な断り方 J自分を大切にする Kトラブルの解決策を考える。

 ドッジボールのように、相手の意見を受け容れながら返す対話を育てること。保育園・幼稚園から中学校まで一貫した取り組みができれば、素晴らしい研究となる。「点」から「線」へ、「線」から「面」へつないでいくこと。新しい取り組みを付け足す(付加)よりも、現在行っている学習に組み込む(組み換え)ことで、学校現場で取り組みやすくすることが大切。
(彦根市河瀬小)