作文指導 〜ABCDでふり返ろう〜
箕 浦 健 司

 4月から、6校時終了後、帰りの会までの間に、1日をふり返って作文を書かせている。その日の学習のこと、休み時間に遊んだことなど、子どもたちは思い思いに書いている。
 当初は、教育相談的なねらいも含んで始めたのだが、心の奥底までを書く子はいなかった。書く時間が少ないことや、初めての経験ということもあり、量的にも、内容的にも乏しい文章が多かった。

「今日の昼休み、○○をしました。楽しかったです。」
「今日、算数のテストがありました。全部埋められたので良かったです。」

 そこで、せっかく毎日続けて取り組んでいるのだから、ここで「書く力」を高められたらと思い、例文を示し、パターンを与え「その日の日記」として書かせることにした。

【ABCDでふり返ろう】
(学習編)A:教科名 B:学習したこと C:Bのくわしい内容 D:感じたこと、想像したこと
(遊び・生活編)A:いつ、どこで、だれと B:何をどうした C、Dは学習編と同じ。
 例文を教室に掲示し、参考にできるようにした。その後は、作文が変わった。

「今日は、図工で伝言板を作りました。僕は猫を作りました。僕の家にいる猫は、白と黒なので、白と黒で塗りました。とてもうまくできたので、あとは、コルクをしっかりときれいに切って貼りたいです。」

 作文の基礎となる、あくまでも基本的な指導なのだが、子どもたちの書く文の内容は変わった。特に、C:くわしい内容を、じっくりと思い出しながら書こうとする子が増えた。これだけ書けば、自然に量も増える。用紙の半分にも満たなかった子が、用紙いっぱいに、時にははみ出して書くようになった。できないのではなく、教えていなかったのだと、今までの作文指導の至らなさを反省すると同時に、子どもたち一人ひとりの持つ力に驚かされた。

 書き方が良く、思いが伝わってくる文は紹介し、広めるようにしている。そうすることでも、どう書けばいいかが分かり、真似をしようとする。また、「ABCまではしっかり書けているけど、肝心なDが抜けているよ。残念」などと指導すると、子どもたちも何が抜けていたのかが分かりやすいようである。

 この取り組みを始めてから、各教科の学習で、時間の終末に書かせる学習作文は、「この時間には、何を学習したのか」がしっかりと書けるようになった。書き表すことによって、力は定着する。
(長浜市立長浜南小)