「題付け学習」で聞く心を育てる
海 東 貴 利

 笠原登著『聞き手が育ついい話』の中に、「聞く力は、肉声でいい話を繰り返し聞かせることによって高められ、言語感覚も磨かれる」とある。
 笠原先生の実践を参考に、「題付け学習」に取り組んでいる。

1.学習の流れを提示する。
 子どもたちに見通しを持たせるために、学習の進め方を簡単に示している。聞こうとする心構えをしっかり持たせるようにしたい。また、お話に関わった絵や写真をできるだけ用意して、イメージが広がるようにしている。

2.教師のとっておきの話を聞く。
 児童の実態や発達段階に合わせたお話の材料を探して準備することがはじめは大変だった。毎回子どもたちがわくわくした気持ちで聞き入ってくれる様子を思い浮かべながら、新聞の投稿記事や偉人の名言や故事の話などから話題を準備している。子どもたちの反応を見ていると、話材が実際の体験談などになると、興味関心は強い。「これから話すお話は、本当にあったお話です。どこに引きつけられるか、よく聞きましょう」と言って話し始めると、子どもたちは身を乗り出すようにして聞いている。

3.お話に題を付ける。また、なぜそのように考えたのかも書く。
 題を付けるだけでなく、その話に自分の心が引きつけられたことが分かるような、そんな題を考えさせるようにしている。

4.全員が発表し、聞き手は一人一人の題をワークシートに書く。
 一人一人の発表を聞いていると、話の中のキーワードとなるような言葉を題につけたり、聞き手の心情を表したりしていて、全員が○○のお話という題にならないところがとてもよい。自分と違う題を聞いて「それっていい言葉だな」と、頷きながらワークシートにメモしている。

5.教師がお話に関連した「新しい言葉」を教える。
 ことわざや季節の言葉などを紹介している。年間を通したこの題付け学習で、子どもたちの語彙量をどんどん増やしていければと思っている。

6.新しい言葉と今日の学習についての感想を書く。
 今まで知らなかった新しい言葉に出会えた喜びや楽しさがうかがえる感想を子どもたちは書いている。こうした感想を聞いていると、教師の肉声でいい話を聞かせることのよさを感じると同時に、子どもたちと同じように学習や授業作りにやりがいを感じている。
(高島市立青柳小)